繆暁陽
インタビューを受ける京都大学の大西有三理事・副学長
「留学生を増やすために、日本には『国際化拠点整備事業(グローバル30)』と呼ばれる国の政策がある。京都大学はその拠点大学の1つ。今、留学生の人数は1500人余りであり、5年間で約3000人に増やす予定がある」と京都大学の大西有三理事・副学長は述べた。
3月26日、大西有三氏は中国人民大学で開催された中国北京地区京都大学同窓会の例会に出席した。その翌日、京都大学の国際化教育や海外同窓会の発展について、本誌記者が大西有三氏にインタビューした。
大学教育の国際化推進
京都大学は、文部科学省が平成21年度から開始した「国際化拠点整備事業(グローバル30)」の拠点大学の1つとして採択された。「『グローバル30』の30というのは、今、日本に来ている十数万人の留学生をこれから30万人に増やそうということであり、そして、30の拠点大学を選ぶ予定があるという30校のことでもある。現在、30校の予定のうち13校の拠点大学が選ばれている」と大西氏は語った。
日本政府によるこの事業は、各大学の機能に応じた質の高い教育の提供と、海外の学生が日本に留学しやすい環境を提供する取組のうち、英語による授業等の実施体制の構築や、留学生受け入れに関する体制の整備、戦略的な国際連携の推進等、日本を代表する国際化拠点の形成の取組を支援することにより、留学生と切磋琢磨する環境の中で国際的に活躍できる高度な人材を養成することを目的としている。
京都大学では、国際化拠点大学として「京都大学次世代地球社会リーダー育成プログラム」と題し、京都大学が持つ世界最先端の独創的な研究資源を活かし、地球社会の現代的な課題に挑戦する次世代のリーダー育成のための教育を実践している。
大西氏によると、「グローバル30」の最大の特徴は、大学の中に英語のみで卒業できるようなシステムを作ることだ。これまでも京都大学の大学院課程では博士課程を中心に数多くの英語のみで学位が取得可能なプログラム(英語コース)を設けてきたが、拠点大学の採択にあたり、優れた留学生獲得のために、学士課程では初めての英語コースを工学部に、また、大学院課程では8研究科において修士・博士の各課程で合計11コースを平成22年度以降に新設することを計画した。「英語で教える先生も雇わなければならない。国際公募により外国人教員を採用するとともに、日本人教員の海外研修を実施する」と大西氏は述べた。