このほど、中国の学術雑誌「アジア太平洋経済」に、中国国際問題研究所世界経済・発展研究部の姜躍春教授の論文「東アジア共同体構想に関するいくつかの考察」が掲載された。論文は「東アジア共同体は複雑で難しいプロジェクトで、地域協力の長期的な目標である。発展の勢いから見れば、ASEAN(東南アジア諸国連合)10+3が共同体の基礎だが、中国、日本と韓国はその中で重要な役割を果たすべきだ。また、この地域以外の国、とりわけアメリカとの政策協調の強化も非常に重要だ」と指摘した。
東アジア共同体の構築について、姜教授は次のような考え方を述べている。
まず、ASEAN10+3の枠組を東アジア共同体の基礎と見なすべきだ。東アジア共同体は、北東アジアと東南アジアの共同体だ。無原則に加盟メンバーの増減を行うなら、共通認識が混乱するだろう。日本は自民党政権の時に、オセアニアのオーストラリア、ニュージーランドと南アジアのインドの3カ国を加えて、10+6の協力構想を提出したが、それは、東アジアの範囲を大いに超えたものだ。東アジアの協力は何年かかけて進んできており、様々な協力の枠組も出来てきているが、実際の発展ぶりから見れば、10+3の枠組が最も大きな進展を遂げている。
次いで、姜教授は、中日韓の協力が東アジア共同体の実現の鍵だ、として次のように述べる。
東アジア共同体を推進する主導的な力はASEAN・東南アジア諸国連盟だが、共同体が構築できるか、そして、それがどのような共同体になるのか、それを決定する要素は、経済的実力が最も強い中日韓3カ国にある。中日韓3カ国は文化的な背景が似ており、3カ国の経済力は10+3、13カ国の85%を占めている。そのため、文化と経済から見れば、中日韓3カ国が東アジア共同体の核心的な力になる必要がある。また、3カ国は協力強化の点でも共通認識に達しており、地域協力を積極的に推進している。
なお、姜教授は「アメリカと東アジア共同体の関係は、加入ではなく、協調を強化するべきである。アジア各国にとって、アメリカは非常に重要な国であるが、東アジア共同体の構築から見れば、アメリカは地域外の国であり、アメリカの加入ではなく、その協調の問題を考えるべきだ」と指摘した。
「中国国際放送局 日本語部」より 2011年5月5日