「灰色の山」 山と積まれた死体
高さ23インチ、キャンバスには富士山を思わせる滑らかな輪郭の山が霧の中に浮かぶ。だが、近づいてみると、その山の稜線が幾千のサラリーマンの死体で出来上がっていることが分かる。彼らの死体は無数の事務機器に挟まれ、まるでゴミ捨て場のようだ。この巨大な「ディストピア」を描いたのは45歳の会田誠だ。彼は日本芸術界で注目の「腕白坊主」だ。
1996年、会田は日本の戦闘機がマンハッタンに爆弾を投下する絵を描いて、2003年ニューヨークに出品している。当時「9•11」テロ事件でもろくなっていたニューヨーカーに大きなショックを与えた。会田を暴力を先導する「戦争屋」と批判する反面、彼を「不吉なことを予兆」する超能力があるのではと感嘆する向きもあった。今回の展覧会で、会田誠はまたこの「灰色の山」という作品で「予言」をしたといえる。福島の地震以前に、この作品を見た者の多くは日本の伝統文化である会社絶対主義に対する風刺と解釈した。だが、震災後、この絵は他の意味を表現しているといわれる。山と積まれた死体は福島の地震による津波、原発事故で亡くなった人を想起させる。
カワイイ漫画は霞のようなもの(瞬く間に消え去る) 悲劇性こそジャパンアートの命題
この展覧会を開催した画廊の館長は、日本の流行の文化について、世界にずっと「カワイイ」イメージが浸透してきたが、日本の文化には普遍的に焦燥感が実際存在してきた。これは日本の歴史の成り立ちと関係があり、地球上で唯一原子爆弾の被害を受けた国であり、地震多発地域で火山帯に位置していることから「この島国はいつも壊滅的な地震の攻撃に用意している、悲劇が起こりやすい場所だからだ。」という。
展示会の作品全体に不吉な雰囲気が見えるのは、彼ら若い世代のアーティストの体験から来る感覚に基づいている。実際、こういった「悲劇的」情緒は日本の当現代文化のさまざまな分野で表現されてきた。黒澤明監督の映画「夢」、宮崎駿監督のアニメ「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」、村上春樹の「1Q84」。これらに共通するテーマは、日常の平凡な毎日の暮らしを一時的なものとする見方、あるいはただ幻とみる思想、突然の災難こそが人生に起こるべくして起こった宿命という考えだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年5月30日