ひとつは、いくつかの地方で観光商品の名前を浸透させるため、大きな旗をはためかせた立派な店を作っている。こうしたやり方は人民の財産を損ない、目先の利益を追うものだ。地方財政を利用して聳え立つような建物を建築することは、国家も納税者の利益も損ねるやり方だ。
もうひとつは、中央政府が不動産業の過度の膨張を抑えているにも拘らず、いくつかの地方行政は観光開発の名目を使って、農民の土地を大胆に接収し、土地取引によって暴利をむさぼり、その上、不動産で儲けた後、土地の値段を吊り上げるという状況だ。
観光業の開発に関しては、隣国日本の考え方が中国のよい手本となる。日本の「観光立国推進基本法」にはこのように規定されている。「地域の住民が誇りと愛着を持つことのできる活力に満ちた地域社会の持続可能な発展を通じて国内外からの観光旅行を促進することが、将来にわたる豊かな国民生活の実現のため特に重要である。」すなわち、観光振興のためには住民の生活に留意しなければならないということだ。住民の生活を第一に考えた上での財政収入だ。日本も経済成長、観光振興の過程で、土地収用問題に取り組んできたが、これによる社会問題は起こっていない。
中国政府は「国民経済と社会発展第12次5ヵ年計画綱要」で「国民経済の戦略的基軸産業としての観光業を建設するに当たり、人民をより満足させる現代的なサービス業の建設と調和しなければならない。」とある。突き詰めるところ、国民経済産業の一端としての観光業振興の最終目的は、人民の生活向上にあり、幸福度の上昇にある。経済成長の名の下に、人民の利益を損ね、政府の影響力にかげりを落とすようなやり方では、「中国第一の酒の里」の繁栄もなんの意味も成さないということだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年5月30日