文=鳳凰網評論家 俞天任氏
日本の対外投資というと一般的には第三国への産業投資か、欧米国家への金融投資と思われがちだ。韓国のように産業チェーンが確立し、産業投資に限界がある上、特に大きな金融市場もなく、金融投資も呼び込めないため、大規模な日本投資とはあまり関係がないというイメージがある。
ところがこの3年、日本は韓国への投資を拡大している、昨年の統計では、日本の対韓国投資は21億ドルにのぼった。この数字は日本の対中投資の10分の1に過ぎないが、韓国への投資はほぼすべて産業投資。日本が韓国で何をしているのか、探ってみたいと思う。
◇有機ELの起伏
日本の韓国への直接投資は05年から液晶を中心に加速を始めた。それが今では有機ELに集中している。有機ELの大手メーカー、アルバックと東京エレクトロンは韓国に新しい研究開発拠点を設立すると発表。住友化学と宇部興産もそれぞれサムスンと有機ELに必要な材料を開発・生産する合弁会社を韓国に設立した。
有機ELの発光材料は05年頃に一時注目を集めたが、その後、有機ELの光度とテレビ画面のサイズを上げるのに難航し、09年にはソニーが同分野からの撤退を宣言した。
iPhoneやiPadの登場で、高品質な小型ディスプレイの需要が高まり、韓国のサムスン、LGがまずその材料に有機ELを使った。そうして有機ELは大きな発展のチャンスを迎える。現在、同ELの最大生産地は最大のEL市場シェアを占める日本ではなく、「世界の工場」と呼ばれる中国でもなく、韓国だ。
◇電力不足で化学工業の移転が加速