実は、60年代ですが、宮城県は規模の極めて大きな津波を経験しています。チリで起きた地震によるもので、宮城県も巨大な損失を被りました。その後、私たち宮城県は津波の影響をもとに、津波の災害を防止するための対策を数多く策定しました。しかし、3月11日の大地震による津波は、50年前と比べるとずっと程度の大きなものでした。その後、過去に発生した津波の状況を真剣に調べた結果、宮城県でも今回の規模のような津波が発生していたことが分かったのです。ただ、50年前の津波をもとに策定した防災対策だったので、今回のこのように巨大な津波が押し寄せて来た時に、何の措置も講じられなかった、これは非常に沈痛な教訓だと思っています。
日本には「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」という諺があります。つまり、聡明な人は歴史から学ぶが、愚鈍な人は切実な経験から学ぶしかない、ということです。今回の大規模な津波に何の手も打てなかったことは、当時、津波災害防止基準を制定した際、少し前に経験した災害しか参考にせず、かなり長い期間にわたる歴史上の記録の調査を無視していたことを物語っています。これが教訓です。
また、これまでの日本の大地震と比較した場合、異なるのは、宮城県のすべての沿岸部がいずれも損失を被った点です。1995年1月に阪神淡路大震災が起きましたが、当時、重大な被害に遭ったのは神戸、この1つの“点”でした。今回の地震がもたらした損失は1つの“線”、宮城県をはじめ岩手県と福島県のすべての沿岸部も重大な損失を受けたのです。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年7月17日