島田雅彦氏: 村上春樹は「少し時代遅れ」

島田雅彦氏: 村上春樹は「少し時代遅れ」。

タグ: 島田雅彦,文壇の貴公子,芥川賞,村上春樹

発信時間: 2011-08-22 14:01:23 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

1961年生まれの島田雅彦氏は日本で「文壇の貴公子」と呼ばれ、その作品は「日本ポストモダン文学の旗手」として注目される。日本の2大文学奨、芥川賞と三島由紀夫賞の選考委員に就任。絵画、料理、スポーツなど幅広い趣味をもつ。その容貌から4本の映画とオペラにも出演。彼ほどバラエティに富み、脚光を浴びている作家はいないだろう。

◇自己意識の強い新世代の作家

今年初め、島田氏は芥川賞選考委員となる。氏は青春時代から何度も芥川賞候補となるが、すべて落選、最多落選記録をもつ作家だ。今では選考委員として1980年代生まれの作家の作品を数々目にする彼の選考基準はどういったものだろう?

島田氏によると、芥川賞の選考委員は10人で、人によってそれぞれ基準が違うという。彼の場合、作品の多様性を維持しているかを最も重視している。現在の日本の新世代の作家は中国の新世代の作家と同じ問題を抱えていると指摘する島田氏。まだ若く、経験に乏しいため作品の中で「第一人称」を多く使う。そのため自己意識が強くなり過ぎる傾向にあるという。「若者は新しい流れを世界にもたらす責任を背負っている。10年ごとにまとまって新鋭作家が現れるが、彼らは文学の新鮮な血液だ」と島田氏は語る。

◇村上春樹は「少し時代遅れ」

「1Q84」全3巻のベストセラーで再び中国でブームとなっている作家の村上春樹氏は日本の純文学の代表的人物かどうかたずねると、島田氏は「村上氏は1940年生まれの作家で、30歳を過ぎてから頭角を現し、デビューするや日本の文壇に襲撃をもたらした。当時彼の作品を読んでいたのは我々の世代で、彼の作品は日本のそれまでの作家とまったく違っていた。彼と比べると多くの作家の作品は古臭く、味気ないものだった。だから彼は多くの作家から恨まれているでしょう」と笑いながら答えた。

一方、村上春樹作品に対して批判もほのめかした。「村上氏の作品は濃厚な米国や西側社会への憧れがあるが、日本社会は今ではそれほど米国を崇めていない。そのため彼の作品は少し時代遅れの感がある」としつつも、「ただ村上氏が日本ですでに時代遅れであるという意味ではなく、特に毎年ノーベル賞が発表される際には、彼が受賞するかに注目が集まる」と島田氏は語った。しかし「今の日本の若者は確かに彼の本をあまり読まなくなった」という。

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年8月22日

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