林国本
先般、中国の労働組合の総本山とも言ってよい中華全国総工会傘下の職工交流センターに勤務している友人が、日本の労組関係の友人が訪中したので、中国の人たちと座談会の機会をつくりたいと考えており、ひとつ手伝ってくれないかという電話があり、若い頃からの友人のことなどで、ノーとはいえないので顔を出してみたが、この友人はアイディアマンで、座談会は通訳抜きで、すべて日本語でやるつもりだということだった。
結局、私の印象としてはこうしたやり方は、新たなブレークスルーで、大いに交流の成果があったと思う。
英語の場合、もうだいぶ前からこういう試みがなされているが、日本語の場合おそらく初めての試みではなかったかと思う。
私は仕事で長年日本に駐在したことがあり、第一線から引退してからもずっと、楽しみとしてジャーナリズムの一角で後輩たちの仕事を手伝っているが、最近、どうも自分はグローバリゼーションという時代の流れの中で、一部の分野に特化すぎているのではないかと感じていた。
今回、日本の労組関係の人たちの交流で、おそらく日本の人口の最大多数を占める人たちの物の考え方に接することができ、たいへん参考になった。今回は日本側はライフビジョン代表取締役奥井禮喜氏の「日中関係の現状と課題――先哲から学びあいたいこと――」を基調発言とし、中国側からは馬君威現代国際関係研究院日本研究所副所長が「中日関係のこれまでの流れについての私見」というテーマで基調発言を行い、そのあと、中日双方が自由に発言した。