中国と日本は社会発展の差が大きい2つの国だが、いずれも夫婦関係が危機に直面している。日本のある企業が既婚男女を対象にアンケートを実施したところ、日本では約6割の夫婦が「これまでに危機的状況を迎えたことがある」と答えた。その要因は主に金銭問題と信頼関係。一方、中国では今年1~3月にかけ、46万5000組の夫婦が離婚届けを提出した。平均で1日5000以上の家庭が崩壊している計算になる。なかでも北京、上海、深センの離婚率がトップ3だった。
中日社会が直面している夫婦関係の危機には多くの類似点がみられる。近年、結婚に対する考え方に大きな変化が生じており、自分の生活の質を重視する若者が増え、結婚のために結婚することを拒むようになっている。とりわけ女性の地位の向上で、経済力のある若い女性ほど自らの生活の質を重視する向きがある。
昨今、中国の各大学で女子学生が非常に増え、女性と男性が平等に教育を受ける権利を享受し、仕事の性質も大きく改善された。女性は経済的に独立したことで、人生観や価値観にも微妙な変化が起きている。以前であれば、夫のほうが稼ぎが多かったが、今では夫婦の収入はほぼ同じで、働く女性の家庭における地位も変わった。経済的な衝突も以前より多くなり、離婚が増加している。中国の若い世代は今時の贅沢な、モノにあふれた生活を愉しみ、「電撃結婚、電撃離婚」にためらいがなく、わがままで、結婚生活を維持する能力を欠いている。
日本では、若い男女の結婚に対する考え方の変化だけでなく、中高年夫婦の離婚率も上昇している。日本では毎年約25万組の夫婦が離婚し、離婚率は50%に達している。そのうち結婚生活20年以上の夫婦の離婚が3万8000組。日本のメディアによると、最近ある調査で、半数近くの日本の中年女性が夫と離婚を考えたことがあり、そのうちの多くがすでに行動したことがわかった。東京で結婚と家庭問題のコンサルティングを行う池内広美さんの説明によると、以前は妻が離婚を求める要因は、不倫、借金、暴力の3つだったが、今では日本の離婚も中国の離婚原因と似てきている。彼女たちも生活の質、心の豊かな生活を求め、昔の世代のように不幸な結婚生活を一生続けることを望んでいないという。
中日社会はいずれも儒教文化の影響を深く受け、結婚や家庭を重視する伝統がある。社会の変化にともない、人々の生活に対する考え方や価値観に変化がおき、家庭の求心力が薄らぎ、個人の感情や理想が優先されるようになっている。そして愛情や結婚生活を維持する「相互信頼」や「相互理解」が軽薄化しつつある。家庭は社会の最も基本的な細胞で、その品質と安定が直接社会の安定と調和につながる。さまざまな現象から、中日社会が直面している家庭崩壊の増加が社会混乱を引き起こしていることは明白だ。結婚に対する考え方の更新は、社会の進歩である一面、家庭崩壊により引き起こされる社会問題にも注意しなければならない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年11月24日