当然ながら、「年を取るほど化粧が濃くなる」という法則はおばあさんたちにも当てはまる。ある日私がスーパーで野菜を選んでいたら、一人のおばあさんが近づいてきて、親しげに語りかけてきた。中国のおばあさんのように「野菜がまた高くなったね」などと愚痴を言うのだ。彼女の顔がとても近かったので、その眼の下のくっきりとしたアイシャドーや濃いファンデーション、真っ赤な口紅をはっきりと見ることができた。
「歳を取ると肌も色つやも悪くなっちゃうから、濃い化粧をしないとね。これも礼儀のひとつよ」と渡辺先生は言う。
私は、日本では男の子もかっこいい子が多いことを思い出した。明らかに化粧をしている気がする。「男の子たちも化粧をするんですか」と渡辺先生に尋ねた。
先生は、男の子で化粧する子はそれほど多くないが、確かにいると答えた。頻繁に美容室に行って髪をセットする男の子もいるそうだ。以前、女性雑誌「 Cancam」でこんなアンケート調査があった。69%の男性が眉毛の手入れをしており、多くの若者は週1回眉毛の手入れをしている。その理由は、友達もそうしているからとか、彼女にもっとかっこよく見られたいからといったものだった。30%の男性が常にあぶらとり紙を携行しており、25%の男性がリップを持って街へ出るそうだ。
日本人がこれほどまでに化粧をするのは、化粧品購入の利便性とも関係がある。日本にドラッグストアと呼ばれる化粧品店があることは多くの人に知られている。そこでは薬のほかに化粧品が売られている。他にもスナックや衛生用品、乳幼児向け用品などが売られている。一方の中国では、いい化粧品を買うためにはデパートの専門店に行かなければならないが、ドラッグストアでは化粧品が完璧に揃っており、価格も手ごろなのだ。
「毎日出かけるときにお化粧するのも慣れたわ」と渡辺先生は微笑みながら言った。彼女の美しい顔はやはり30歳そこそこにしか見えない。「国民総化粧化」するのも悪いことではなさそうだ。少なくともみんなが美しくなるのだから。そう思うのは私だけだろうか。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年12月7日