近年、「ライトノベル」(ラノベ)が日本の出版業界で確実に売上を伸ばし、新しいパワーとして出版大手が注目している。日本の大手出版社、講談社は12月、「ラノベ文庫」を増設、高い市場シェアを誇る角川グループ、集英社などの大手出版社と競争する構えだ。角川Gはラノベのシェア1位「電撃文庫」主催の新人賞を創設、新人の応募作が年1万作に及ぶ。集英社はマンガが主力の出版社だが、ラノベ文庫にも参入、なかなかの市場効果を上げている。
ラノベは2000年頃に日本に現れた若者向けの、学校生活や魔法、SF的設定を題材にした娯楽小説で、一般的にシリーズで発売される。アニメ・漫画調のイラスト が表紙・挿絵としてついている、漫画に最も近い文学スタイルといえる。しかも大部分の作者は若者であることも、若い読者の人気を集め、学校の授業前に読書する「朝読」で読まれることも増えている。今最もパワフルなラノベは次々とアニメ化され、「コンテンツ産業の有力な供給源」となっている。また、アニメの人気が小説の売上にもつながり、瞬く間に100万部を突破している。
日本の出版科学研究所によると、09年の文庫の総販売額の1322億円のうち、ラノベは301億円と2割強を占めた。文庫全体の販売額が減少を続けるなか、ラノベの販売額は04年から伸び続けている。今年5月に発売された人気シリーズ「涼宮ハルヒ」の最新刊「涼宮ハルヒの驚愕」は100万部の売上を超えた。
ラノベは「漫画の文字化」といわれるが、読者層は30~40代に拡大の傾向にある。しかもラノベは試験的な作品に事欠かない。近年日本はラノベ作品の「逆輸入」や「輸出」を視野に入れ、欧米やアジアの市場を模索している。角川Gは中国の中南伝媒と今年9月に中国大陸・台湾の作家が登場する雑誌「天漫軽小説」を創刊した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年12月7日