特に日本は財政支出の半分を赤字国債が占めている。国債発行に頼って国を維持しているのだ。日本政府の累積財政赤字額はすでに日本の総貯蓄額に近づいている。今後も引き続き国債発行によって政府の運営を維持できる可能性はもう余りない。欧州債務危機という国際環境の下、欧州諸国のように外資で国債を消化できる可能性も皆無だ。日本経済は規模が大きすぎるため、日本国債の購入を長期間続け、日本政府の運営を支えられる海外の民間資本はそうないからだ。
こうして見ると、民主党の消費税政策もやむを得ない選択と言える。だがその影響は余りにも大きい。まず経済を揺るがし、次に政治を大きく揺るがす大きな原因となる。消費税を5%から8%へ引き上げた後、さらに10%へ引き上げる際も、同様に民間消費は完全に冷え込む。1997年の橋本内閣による消費税引き上げは、長年回復しない消費の冷え込みをもたらす大きな原因となった。橋本時代はまだ国家財政にある程度余力があったが、現在はさらに逼迫しているうえ、消費税率引き上げによって得られる財源も非常に限られている。以前日本の政治家は消費税によって社会保険を補う構想を示したが、これまでに納付された消費税が本当に社会保険に充てられたのか、明確な説明は聞かれない。
過去20年余りの日本政治を見ると、1989年の消費税導入で野党社会党が選挙に大勝して以来、自民党は日に日に衰退し、政局は変動を続けている。野田内閣による慌ただしい消費税率引き上げの提案も、同様に政局を深いレベルで揺るがすだろう。