■党内をまとめる力を試される野田首相
党内の政治環境が変化する中、野田首相は党内をまとめる力を試されている。現在の日本政治の争点の1つは消費税問題だ。与党民主党内で、野田首相をトップとする「主流派」は消費税率を2013年10月に8%、2015年4月に10%に引き上げるとの二段階増税案を主張し、増税法案の国会提出を支持している。一方、小沢一郎元幹事長をトップとする「反主流派」は消費税率引き上げへの反対を鮮明にし、一部議員は新党結成の動きすら見せている。より重要なのは民主党は派閥が林立し、政治思想や行動方法も大きく異なるということだ。野田内閣の「マイナス要素」が増えたことで、党内各派閥は日増しに活動を活発化させている。
政治基盤を固め、党内亀裂を繕うため、野田首相は薄氷を踏む思いで「挙党一致」体制を作ろうとしている。だが形勢を見ると、野田内閣は上半期に重要な政策で手元が狂ったように、ますます守勢になることは避けがたく、苦しい政治選択を迫られるだろう。
■党派党争を複雑化させる「ねじれ国会」
日本の国会は衆院は与党民主党が優勢、参院は野党が優勢という「ねじれ」現象を呈している。民主党は衆院で優勢だが、3分の2議席には届かない。参院は野党が優勢で、特にかつて連立政権を組んだ自民党と公民党は得票数の合計で民主党を上回っている。
このため民主党は国会で野党の大きな圧力にさらされている。だが党内の団結不足から、野党の攻撃に力を合わせて対応し、与党の地域を確保できるかどうかの見通しはかなり不透明だ。
消費税率引き上げを柱とする社会保障と税の一体改革を推し進めるため、野田首相は野党を正式に協議に招待するという「和平の申し出」をしたが、衆院の早期解散を狙う野党に応じる意思はない。自民党は今年を政治決戦の年と位置づけ、不退転の決意で戦い、与党を退陣に追い込むとしている。国会や与野党協議の場でも反対意見を貫くというのが自民党の考えだ。野田首相が衆院を解散しなければ、消費税問題の協力をめぐる与野党協議への参加は検討しない。日本共産党と社民党は、国民の審判を経ずに消費税増税法案を提出する資格は民主党政権にはないとして、消費税増税を批判している。みんなの党は民主、自民両党と拮抗する「第三極」の座を狙い、増税に明確に反対している。