■政権運営の厳しさを増す世論環境
今年に入っても野田内閣の支持率は下がり続けている。最近の世論調査では、消費税率引き上げについて「反対」または「どちらかといえば反対」との回答は58%で、「賛成」または「どちらかといえば賛成」の40%を上回った。また「首相は国民に十分な説明をしていない」との回答は74.4%に上った。内閣支持率は前回調査から8.9ポイント減の35.7%。一方、不支持率は10.2ポイント増の50.5%に達した。不支持が支持を上回ったのは、内閣発足以来初だ。日本では政治家は世論の圧力を無視できない。厳しい世論環境の中で政権を長期間維持するのは困難だ。
概括すると、党内の異議、野党との政策調整や政治闘争、世論などの圧力や影響を受けるため、政局が制御不能にならずとも、野田内閣は総じて高いリスクを抱えていると言える。
今後、自民党など野党、および民主党内の反対勢力が野田内閣への政治攻撃を強めることは間違いない。野田内閣が現在最も望まない局面は、重大な法案を可決できずに、衆院解散に追い込まれることだ。野田内閣が直面する困難は2つの形を取るだろう。第1に今後の国会審議で野党の意見を聞き入れ、一層の政策的妥協をせざるを得なくなること、第2に党内反対派の政治的訴えとの調整が回避不能な差し迫った課題となることだ。この2つを適切に処理できなければ、最善でも野党を効果的に説得して局面を打開する道を見いだせず、増税など一連の政策構想が空振りに終る可能性がある。最悪の場合、内閣退陣の可能性が急速に高まる。
こうした背景の下、日本政局の行方には野田内閣の継続、連立政権、内閣総辞職の3つの可能性がある。野田内閣の選択肢も同じく3つある。上策は具体的政策についてのみ調整を行い、党内反対派や野党と十分に協議すること。中策は党内外の協力を図ること。政権を維持するためには自公両党との協力、さらには民主党と自民党の保守勢力の緊密な提携も排除しない。考えるのは容易だが、難易度は非常に高い。下策は退陣に追い込まれ、民主党内の新リーダーが政権を引き継ぐことだ。
総体的に言って、野田内閣のリスク係数は発足後の数カ月よりも多少高まっている。政権を維持できるかどうかは、自らの打ち出した各政策の実行の程度、そして与野党各勢力とどれだけ効果的な調整を図れるかにかかっている。言い換えるなら、上述の難題が処理・解決されないうちは、たとえ新たなリーダーに交代しても、日本政治は「漂流」を続けるだろう。
「人民網日本語版」2012年1月13日