妻の家族を支える日本の「婿養子」
妻の家族を支える日本の「婿養子」。
タグ： 田中直紀,婿養子,結婚習慣,男卑女尊
「婿養子」家庭は仲が良い
「婿養子」の家庭は法律的には妻が世帯主であり、財産の支配権は妻にある。旦那の生活費や子供教育費は妻が管理し、女性は「経済的地位の保証」を手にしている。しかし、西洋化する日本の家庭では、「民主的」決定方法が採用されつつある。
ある「婿養子」家庭の調査では、婿養子の家庭のほうが一般家庭よりも「仲が良い」ということが分かった。「旦那が妻に従う」場合がほとんどで、浮気する確率も一般家庭よりはるかに低かった。ただ、旦那がプライドを傷つけられたり、妻の振る舞いに耐えきれず自殺を図るなどのケースも発生している。男性が妻の家庭にはいることで、一般的にみられる「嫁姑問題」は発生しないが、妻の父親が娘婿の生活習慣や態度に不満を抱き、摩擦を生じさせることもある。父親の娘に対する寵愛が理性を超えたときに、このような「婿舅問題」が生じるとの分析結果がある。
「婿養子」はかつて一般的だった
かつての日本では、「婿養子」は一般的だった。奈良時代、平安時代の貴族の結婚習慣は、女方が結婚の日取りを決め、結婚当日には男方は女方の家で一晩過ごし、結婚後は夫が妻の家に通うという形態だった。この「男卑女尊」は鎌倉時代まで続いた。幕府の時代には、武士の家庭で家督制度ができあがり、第一子は男女をとわず、一家の主になると規定された。そのため、第一子が女性の家庭では「婿養子」が普通に行われた。
日本の「婿養子」は地域色も強い。大阪の商人の間では「逆玉の輿」が盛んに行われた。貧乏だが地位のある武士家庭や官僚家系に男方が大きな「嫁入り道具」を送って「婿養子入りした。また、商売の才能がある男は、「お得な条件」で婿養子に誘われることもあった。三重県や岐阜県など地方の漁村や養蚕農家では女性が主要な労働力であり、女性が貴重とされていた。そのため、「婿養子」が一般的だった。そのほか、相撲界や芸能界では、弟子が親方を継承するために「婿養子」に入ることが多かった。
ある歴史学者は、日本男性は「婿養子」に対しておおらかだと指摘した。母系社会とかつての日本にあった「女尊」という概念の影響だという。日本ではかつて、「女性天皇」の時代が何度もあり、男性が女性に従うということが普通だった。
しかし、日本語には「小糠三合あるならば入り婿すな」ということわざがある。近代になって、男性が日本社会の主導者だという観念が広がり、「男なら入り婿すな」という言葉が流行った。現在の日本人は「婿養子」に開放的になっているが、いまだ複雑な思いを抱いている男性が多いのも事実である。それは、「男性としてのプライド」と「周囲の目」が主な原因であるが、そのほかにも、自分を受け入れてくれた妻の家族に対して「報いなければならない」というプレッシャーも一因としてあるだろう。
「中国網日本語版（チャイナネット）」 2012年1月18日
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