中国版『チベット犬物語~金色のドージェ~』のポスター
話題の中日共同制作映画『チベット犬物語~金色のドージェ~』が満を持して、2012年1月7日、日本での公開が始まった。
世界的な評価を得ている日本のアニメスタジオ・マッドハウスと、中国最大の映画制作興行グループ・中国電影集団がタッグを組み、慈文紫光数字影視有限公司と共同で中日合作プロジェクトに挑んだ作品だ。中国では2011年夏、先行公開されている。
原作は中国のベストセラー小説『藏獒(チベット犬)』。『MONSTER』、『20世紀少年』で絶大な人気を誇るマンガ家・浦沢直樹が、自作以外の作品で初めてキャラクターデザインを提供。監督は「花田少年史」『ピアノの森』の小島正幸。トップクラスのクリエーターが集結し創り上げられた映像世界は、躍動感溢れる犬たちの動きや、そこに吹く風を感じさせるほどリアルなチベット高原の描写など、圧倒的なクオリティを感じさせる。
日本と中国のアニメ会社が、中国政府の許可を受け、共同で製作したアニメ映画は本作が初めてだ。
中日アニメ交流の歴史は1940年代に遡る。その後、徐々に成長し。特に1980年代、第二次アニメブームとともに、量的には相当数に至った。この時期の交流は、主に中国が日本のアニメ作品をテレビ放送用として輸入することと日本のアニメ会社から仕上げのような単純作業の注文を請け負うことしかなかった。これは、中国のアニメ会社の成長に不利になりかねない交流だった。1995年、日本で第三次アニメブームが起こったが、一方中日アニメ交流は徐々に冷え込んでいった。理由は時代の流れと共に、DVDやネットの普及が進み、中国で海賊版問題が発生したことによるところが大きい。これによって、日本のアニメ会社の中国市場進出の意欲が減退。その一方、中国政府は自国の貿易や民族文化を保護する必要性に気づき、厳しい制限政策が次々と実施された。しかし、交流が冷え込む地下で流れは止まっていなかった。萌芽期の中国アニメ産業にとって、世界に誇る日本アニメ産業の技術、経験、資金などは魅力的だ。対して、日本の大手アニメ会社も、国内市場の飽和状態などを考え、同じ東アジア文化に属する中国の巨大な潜在力に着目した。だが、こうしたさまざまな動きも、冷え込んだ中日の交流の厚い氷を破ることはなかなかできなかった。
今回、初めて完全なビジネスプロジェクトの共同作品として、『チベット犬物語』が誕生し、国内外で上映できたことは、疑うべきもなく「中日アニメ産業の連携が新たな段階」に入ったことを意味している。先日、チャイナネットは『チベット犬物語』のメインプロヂューサーの1人で、マッドハウス北京の副総経理である朱樺氏にインタビューをすることができた。現場を知る彼から、今回、日本と中国のアニメ会社が始めて中国政府の許可を受け、共同でアニメ映画を製作した過程、そのスクリーンの裏にある連携の仕組み、誕生の経緯などの内実を伺った。