文:陳言・日本企業研究院執行院長
これほど沈鬱な世論、閉塞した民意、貧困な政治はこれまで日本で見たことがない。
消費税の引き上げはすでに日本の既定方針となったようだ。国会の議論では、与党民主党と野党多数はぼんやりとした様子でどうでもいい小さな問題を持ち出し、与党はものうさげに二言三言答弁している。議論の時間をつぶしているかのようだ。それでも結構な時間が余り、結局議長は早めの閉会を宣言した。「連日の審議でみなさんすでに疲れている。本日のように早めに閉会するのもいいでしょう」。なんともおかしな発言だ。
1997年に橋本龍太郎首相(当時)が「断固」消費税を引き上げたことを思い起こすことのできる日本人は、今日すでにいないようだ。その後10数年間、日本人は経済の低迷を目の当たりにしながら、解決策をずっと打ち出せずにきた。大地震、大津波、原発事故を経て、すでに破産に瀕した国の財政状況を国民にさらし、増税について語る時の日本政府は、筋は通っているとばかりに堂々としている。
増税に対する国民の反応で目立つのは「やむを得ない」であり、強い反対の声は聞こえてこない。経済学の知識が少しある、または10数年前の出来事をまだ覚えている日本人なら、増税に断固反対の声を上げるはずだ。だが実際に反対の声を上げる日本人は多くない。彼らの小さな声は、増税支持の大合唱にすぐかき消されてしまう。
日本経済は現在も落ち込み続けている。経済的に下落を続ける日本が、東アジアや世界に利益をもたらすことは決してない。だが世界には、日本が自ら望むように徹底的に落ちていくのを阻止できる国もまたない。