■デフレは税収の大敵
米イェール大学の浜田宏一教授は橋本内閣の増税について精確な統計をまとめた後、「デフレ条件下では増税は税収減をもたらす可能性がある」との経済学の定義を導き出した。だが浜田教授の結論は日本では十分に注目されていない。
日本で聞こえてくるのは野田内閣の増税に対する賛成の声ばかりだ。
企業界は消費税増税に賛成している。企業が納めるのは法人税だからだ。消費税税率が引き上げられれば、企業は国に法人税引き下げを求める資格を得る。消費税増税は願ってもないことなのだ。
増税後のデフレ問題に注目する人は少ない。現在日本の物価は安定しており、年々安くなる現象さえ見られる。だが給与は10数年間上がっておらず、一般国民の所得は国の税収と同様、大きく減っている。元日本経済新聞記者の田村秀男氏は最近の記事で「2010年の世帯のひと月あたり可処分所得は1997年に比べ6万6700円、13.4%減った」と指摘している。
増税によって家庭の所得はさらに大きく減る。増税派の論客の武藤敏郎氏は、税率引き上げ後、年収500万円の世帯では16万円の負担増になるとしている。日本政府の計算では、これは可処分所得が31万円減ることになる。月額平均2万5833円、つまり1日1000円の減少だ。民主党の増税によって、日々出勤しているお父さんたちは昼食を外で食べられないだけでなく、帰宅前に駅の近くで一杯飲む機会も失ってしまう。
消費の徹底的な冷え込みとさらなるデフレ。これが民主党による消費税引き上げのもたらす最終的な結果だ。民主党の期待する財政再建は、さらに遠ざかる。日本経済が低迷を続けるというのは、口先だけの話ではないのだ。(文:陳言・日本企業研究院執行院長/日本問題のコラムニスト)
「人民網日本語版」2012年3月24日