被災地となった3県を訪問する中国の観光客に対し、日本政府はマルチ往復ビザを発行する計画を立てている。表面的には、政権党である民主党が、中国人観光客に対する旅行ビザの敷居を低くしているように見える。近年、日本に訪れる中国人の団体旅行や家族旅行、個人旅行に対するビザ条件の緩和や、沖縄のマルチビザ措置が行われてきた。これは日本が進める「観光立国」戦略を成功させるための方策である。しかし中国人観光客に対するこのような日本観光の「勧誘」には、真意を疑わせるものがある。少なくとも責任感の欠如を感じるのだ。
東日本大震災がもたらした津波と福島原発事故に起こった放射能漏れは、日本に対し、地震、津波、放射能漏れという「三位一体」の打撃を与えた。放射能漏れ事故は、日本が長期的に宣伝してきた「安全神話」を崩壊させた。国際社会は、旅行から食品まで、日本を敬遠するようになった。
このような局面を打破するため、日本は数多くの努力を重ねてきた。その中心となる内容は、日本はやっぱり「安全」です、日本からの輸入食品を「安心」して食べてください、外国人観光客も安心して日本旅行を楽しんでください、というものだ。
しかし問題は、大地震が発生して1年が経った今日、日本政府はまだ、我々が期待する「安全宣言」を出せないでいることにある。福島原発の警戒区域はまだ完全に解除されていない。同時に、地震が発生してから被災地の3県では2300万トン以上のゴミが残っている。この1年で、すべてのゴミの5.6%しか処理できていないのだ。1995年に阪神大震災が発生したとき、政府はゴミ処理をするのに1トン当たり2.7万円拠出したと言われる。現在、政府はゴミ処理に6.2万円を拠出している。それにもかかわらず、他の都道府県は被災地の3県、特に福島県のゴミの受け入れを拒み続けている。最も重要な原因は、ゴミの中にある放射能の影響である。一旦受け入れたら、燃焼されたゴミが作る灰は当地の農作物や魚貝物に影響を与えかねない。すると輸出もできなくなるからだ。