ある日本人は記者に対し、震災後の日本でもっともよく出てくる言葉は「絆」であると言った。中国語の「紐帯」という意味だ。しかし、被災地のゴミ処理に対する支援に関して言えば、日本の他の地域は安全を第一にし、「絆」を全く無視している。これは言い方を換えれば、「日本は安全でない」ということだ。日本人はみな、日本が安全でないと考えている。それなのに、日本の政権党や政府は大手を振って外国人観光客を集めようとしている。責任感がないと思わざるを得ない。
もうひとつ、昨年日本政府は沖縄入りする中国人旅行客を対象に、マルチ往復ビザ政策を採用した。誰もが知るように、沖縄県は日本の47都道府県のなかで最も貧しい県である。この政策は事実上、沖縄県に対する「貧困対策」である。現在、日本の政権党および政府は被災地の3県に対し、中国人旅行客にマルチ往復ビザを与えているが、事実上、被災地に対する「振興策」となっている。しかし、中国人旅行客を「貧困対策」と「振興策」のATMとするような考え方は、当事者には受け難いものだ。福島県が100%安全だと言いきれていない状況ならなおさらである。
旅行ビザは本来、相互に平等なはずである。中国の経済発展の状況から、それがまだできていないことは理解できる。しかし「観光立国」戦略に貢献する中国人旅行客を求める日本が現在、このような「差別的」な感覚で中国人旅行客を利用するのはいかがなものか。東京や大阪、千葉、北海道など20以上の都道府県が、日本政府に対して中国人旅行客のマルチ往復ビザを出すように申請している。しかし法務省と警察などの部門は、それを実施したがらない状態だ。以上から記者は、中国人旅行客も理性を持って旅行先を選択するべきだと考える。(蒋豊:『日本新華僑報』編集長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年3月31日