文=コラムニスト・陳言
日本に一年以上滞在する外国人はみな写真入りの「外国人登録証明書」を持っている。証明書と言っても、実際はクレジットカードのようなプラスチック製のカードで、常時携帯する義務がある。もし携帯していなければ、警察が外国人登録証明書の常時携帯義務違反の名義で逮捕することもできる。
一般的な日本人は、在職証も身分証明書も持っていない。私自身、日本で学校の教師となり、その着任手続きの際に、中国の習慣に従って在職証を要望したのだが、人事課のスタッフはなかなかそれを理解できなかった。しばらくしてやっと昔使われていた在職証に思い当たり、長い時間かけてそのうちの一つを探し出し、私にくれた。しかし、この証明書にはほとんど使い道がなく、自己満足の証明書に過ぎず、郵便局で荷物を受け取る際の身分証明にもならない。身分証明書として日本で最も多く使われるのは、運転免許証である。免許証には顔写真もあり、警察署の審査を経て発給されるため、郵便局での荷物の受け取りにも、銀行の送金にも便利に使うことができる。
しかし2015年1月から、日本も個人識別番号を導入することになっている。政府も様々なPR活動を通して、この「マイナンバー」の良さをアピールしている。
例えば、このナンバーは、納税や社会保障とリンクさせることができる。政府は、低所得者には証明により減税や所得税の払い戻し、給付金の支給措置を採ることができると強調する。また、年金の受給手続き等にもこの番号が必要になる。日本は保険の名目が雑多なことで有名だが、このナンバーで一括管理できるようになる。
さらに、このナンバーは医療保険のファイルとしても活用できる。ナンバーさえあれば、過去にどのような病気をして、どんな薬を使用したか全て調べることができるのだ。これは、3・11の震災や津波で多くの人々のカルテを失ったことを教訓にしたものでもある。ナンバーをもとに、関連の医療ネットにアクセスすれば、たとえ紙のカルテが無くとも、患者の状況をすぐに把握することができる。