本書の表紙。
貴州省の少数民族に関する初めての和書、『長江中下流域の人々と貴州省少数民族との関連を求めて』は、4月6日、日本僑報社から刊行された。
日本僑報社が発表した内容紹介によると、中国の総人口約13億人の内訳は90%以上が漢民族であるにもかかわらず、中国国土の半分以上の広さに相当する地域で生活を営んでいるのは55もの種類の少数民族である。
中国の歴史を考える上で少数民族の存在は無視することができない。しかも、一部の特定の民族に注目するのではなく、総体的にとらえる必要がある。
中国の少数民族は主に中国大陸の北方、西方、南方の各地域に居住しているが、本書では、著者は黄河文明よりもさらに歴史の古い長江文明を築いてきた南方の少数民族、特に、長江以南に居住する諸民族に焦点を当て、各民族の起源と歴史上の分布、移動の軌跡や他民族との同化の歴史を漢文の史料を引用し、日本語訳をつけながら丁寧に紹介している。
さらに、著者は数度にわたって現地を訪れており、目に触れた各民族の文化の特徴を写真とともに紹介してくれている。漢民族とはひと味違う、さらにエキゾチックな中国に触れられるお薦めの一冊。
著者の西村武(にしむら たけし)は、1938年生まれ、国学院大學文学部史学科卒業。67年より千葉県八千代市立阿蘇小学校に勤務、83年浦安市立美浜北小学校校長、96年浦安市立富岡小学校校長。98年県教育功労賞受賞、99年3月定年退職。2008年より東京都葛飾区日中友好協会会員。著書『長江文明と縄文・弥生文化の接点』(日本僑報社)がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年4月9日