第5回中日韓3カ国首脳会談を間近に控え、今会議で焦点となる中日韓自由貿易協定(FTA)締結交渉が今年末に延期される見通しであることがわかった。また5月2日、中韓は二国間FTA交渉を開始すると発表。中韓の交渉に大きく遅れをとった日本には焦りが漂っている。
◇TPPかFTAかの二者択一?
日本がFTA交渉で遅れをとった原因は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の参加を迷っていることだ。米国はアジア回帰を表明し、その戦略の一つは経済におけるTPP推進である。最初の対象となった同盟国の日本は、TPPをリードする役目を果たさなければならない。しかし、国内ではTPPに反対する声が強く、2012年4月29日の野田佳彦首相の初の訪米前には反対と賛成がほぼ半々になった。
TPPとFTAを比較すると、前者は後者よりランクが高く、実現が難しいことがわかる。さらに、TPPはアジア太平洋地域の多くの国に関わり、参加国が多ければ連携は難しくなる。すでに交渉に参加している9カ国を見ると、すべて資源輸出の少ない国で、日本と利害関係にある国は少ない。また、極めて重要な国である中国、インド、韓国は交渉に参加しておらず、日本がTPPに参加する動機は説得力に欠ける。
◇日本は遅れを懸念