◇日本は遅れを懸念
中韓で先にFTA交渉に入る動きは、日本に大きなプレッシャーを与えた。日本は、3カ国交渉で韓国が日本を排斥することを懸念している。
日韓は電子産業、家電および自動車などの分野で重なる部分が多く、中国という巨大な市場を前に競争を繰り広げている。
韓国で実施された世論調査によると、韓国企業の半数は中韓が先にFTA交渉に入ることに賛成している。一方、中日韓交渉の開始を望む人は28%、日韓交渉を望む人はわずか7%だった。韓国が中国とのFTA交渉開始を発表したのは、日本が中国と先に交渉に入るのを避けるためと見られている。
日本の丸紅株式会社・中国戦略委員会事務局戦略プランナーの成玉麟氏によると、中韓FTAが発効すれば、日本の多くの戦略的支柱産業の中国市場における優位性は韓国からの大きな試練に直面する。自動車産業を例にすると、中国の自動車の輸入関税は平均16.7%で、中韓FTA締結後に関税が廃止されれば、韓国車は中国という世界最大の自動車市場でさらに低価格で販売でき、日本の自動車産業は大きな影響を受けることになる。
また、韓国はEU、米国ともFTAを締結した。韓国は欧米の中国投資における仲介人になることもでき、そうなればライバルである日本との差を広げることになる。
一方、日本は中米欧のどの地域ともFTAを締結していない。韓国に対抗し、日本も中国との二国間交渉に入ることを検討し始めているという。日韓は巨大な中国市場に目を向け、新たな貿易枠組みの構築を目指すという同じ行動をとっている。
成玉麟氏は、中韓が交渉開始を発表してから、日本政府はジレンマに陥っていると分析する。日本はまもなく始まる中韓FTA交渉を追う一方で、ワンランク上のTPP交渉のスタート地点に立ち続けることも考慮しなければならない。また現在は、中国が日韓両国と東アジア3大国家のFTA交渉を加速化するのに有利な状況である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年5月11日