第2に、多元的で官民の協力する保障制度の構築。
日本の海外利益保護制度は安定性が高いが、いったん構築されたらいつまでも変わらないというわけではなく、たゆまず発展し、変化する環境に適応している。外交課題が日に日に増え、特に経済外交を踏み込んで展開する中で、対外問題を専門に扱う外務省以外に経済産業省、財務省、農林水産省などの省庁も頻繁に対外経済政策を決定し、実行している。政府所属団体、非政府組織(NGO)、業界団体なども対外経済関連の取り組みを積極的に繰り広げている。統合的な計画・連携に向けて、閣議、内閣官房、内閣府の指導力も強化された。
海外利益保護の新たな課題に適応するため、日本は多元的な制度以外に、政府のガバナンス能力も速やかに強化し、整った公共サービス支援システムを構築した。海外での経済的利益の保障体制の鮮明な特徴として、政府と社会、政府と企業、政府と個人の相互協力が挙げられる。例えば在外日本企業への安全情報の定期的提供においては、政府レベルで効率的で力強い調整体制を構築したうえ、社会各界との協力も強化した。
日本のODA政策は長年外務省、大蔵省(現財務省)、通産省(現経済産業省)、経済企画庁の4省庁が決定し、日本輸出入銀行と海外経済協力基金が具体的な実行を担当してきた。新ODA大綱は政策の総合的な協調性と戦略性を際立たせている。つまり政策目標と着実な利益に資することをより重視し、政策決定と実行体制において各当局間の協力と民間活力の活用を強化している。
第3に、積極的な経済外交。日本は海外での経済的利益を確保するため、新たな経済外交を全力で繰り広げている。この経済外交は国の経済的利益の実現を目的に、様々な経済的手段の助けを借りて戦略・政策目標の実現を確保するものだ。敗戦国としての特徴と戦後の発展法則のために、その経済外交は国の経済的利益の追求手段であるだけでなく、それ以上に政治外交と軍事外交能力の不足を補う重要な外交活動であるという特殊性を備えている。つまり経済外交を利用して政治・安全保障上の目的達成を図るのだ。こうなると、日本外交における経済外交の特徴は一層明らかとなる。
日本の経済外交は自由貿易体制の構築、戦略資源の供給確保、海外協力事業の維持などの核心的要請によって構成されている。国、社会、企業、国民など多様な利益上の要請を確保するため、日本は「積極的に主張し、指導力を発揮する」経済外交を繰り広げるとともに、力強い外交を実行できる体制の強化を図っている。
「人民網日本語版」2012年5月11日