日本の地方行政は、1都・1道・2府・43県に分けられており、理論上は全て地方自治体である。中でも、最も影響力があるのは必然的に首都である1都、つまりは東京都である。しかし、東京都の石原知事の釣魚島(日本名:尖閣諸島)を購入するとの発言は、理屈的にも簡単にまかり通る事ではない。
たとえ、日本が釣魚島の領有権を主張したとしても、遥か遠くにある東京都とはなんら関係の無いことである。しかし、石原都知事は日本政府が認める釣魚島の所有者と連絡を取ることに成功し、この所有者とされる人も「早いもの勝ち」との考えから、国ではなく、石原都知事と島の売買について協議する考えを示しており、それがまた石原都知事がでしゃばる要因となった。
地方の一勢力の策略によって、日本の中央政府は釣魚島問題に対する立場を変えるまで追い詰められたことになる。日本政府による公式の説明によると、釣魚島及び島嶼は個人所有で、現在、日本政府が地権者から借り上げており、中日間の対立を避けるため、いかなる者の上陸も禁止している。この説明は、国内をうまく言い含めると同時に、対外的にも中国との政治的な暗黙の了解を守っている。つまり、釣魚島に関して、中日双方は影で交わした約束を互いに守っている。中国政府が日本の釣魚島領有に対する抗議活動を行う「保釣運動」の活動団体が釣魚島に接近しないよう極力阻止しているのも、この「暗黙の了解」があるからである。
しかし、石原都知事はその「暗黙の了解」の盲点をわざと突こうとしている。東京が島の購入に成功すれば、島への上陸を禁止する日本政府の政策は無効になる。そのため、石原都知事は東京都が購入することを堅持しており、野田政権の主張する「国有化」を望んではいないのだ。(文=沈旭暉 香港中文大学国際関係研究センター主任)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年7月18日