近年、日本は釣魚島の主権問題で繰り返し行動を起こしているのに、中国はなぜ受け身の姿勢をとり続けているのか。その理由ははっきりしている。日本は釣魚島が中国固有の領土であることをよくわかっている。第二次世界大戦後に出された「カイロ宣言」と「ポツダム宣言」は、日本の領土を4つの大きな島に限定したが、米国は1970年代初めに釣魚島の施政権を一方的に日本に引き渡した。
中日間の釣魚島問題は米国が引き起こした矛盾・争いである。1972年5月に米国が釣魚島の施政権を勝手に日本に引き渡していなければ、日本は武装した巡視船を派遣して釣魚島周辺海域を支配する度胸などなかっただろう。2010年の中日間における漁船衝突事件の発生後、ヒラリー米国務長官は、「日米安全保障条約は釣魚島にも適用される。北方四島は対象外」と公の場で発言した。ここから、中日間の釣魚島問題を完全に解決するためには、米国はなくてはならない存在であり、米国が問題に介入しなければ矛盾と争いを根本から解決することはできないとわかる。もちろん、米国が介入すれば日本の肩を持つことは間違いなく、中国は十分な警戒が必要だ。中国側はまず、米国が返還した釣魚島の施政権について、米国に説明をもとめなければならない。施政権とは何か。米国による一方的な返還は「カイロ宣言」、「ポツダム宣言」の規定に合う行為か。釣魚島と北方四島は第二次世界大戦の結果だが、米国が「日米安全保障条約は釣魚島に適用されるが北方領土には適用されない」と主張したのはなぜか。中国は米国の介入を恐れてはならない。肝心なのは中国の準備状況である。十分に準備し、事前に備えていれば、中国が勝つ可能性はかなり高い。
そのため、一刻も早く法律と歴史の2つの面から釣魚島の主権帰属をはっきりさせる必要がある。中国側が行うべき急務は2つある。一つは有力かつ有効な証拠を収集、提示し、世界に釣魚島とその付属島嶼は間違いなく中国固有の領土であると証明することだ。もう一つは、日本側に釣魚島が固有の領土だという主張について合理的な説明を求め、納得できる歴史と法律の証拠を提示させることだ。
そのほか、中国は日本の悪巧みに惑わされてはいけない。1972年から、日本の海上保安庁は武装した巡視船と海上自衛隊のP-3C対潜哨戒機を釣魚島の周辺海域に派遣し、いわゆる「領海警備」に当たらせ、中国の保釣船の阻止、保釣船との衝突、海洋調査船の作業妨害、漁船の拘留や船長の逮捕などを何度も行ってきた。日本のこのような武力を動員して争いのある島やその海域を支配するというやり方は、平和主義を規定する日本国憲法第9条に反している。別の角度から見ると、釣魚島の主権争いにおいて日本に勢いがなく、不安があることを意味する。中国側は、日本が釣魚島の周辺海域で行う違法な実効支配を強く批判し、同海域で活動する巡視船とP-3C対潜哨戒機を直ちに撤退させるよう日本側に要求すべきである。(中国海洋発展研究センター 郁志栄研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年7月18日