中国外交部の劉為民報道官は11日、中国の漁業監視船3隻が同日未明に釣魚島から12海里の海域に入ったことを確認した。また、「中国側は日本側が申し入れた交渉を受け入れず、中国の漁業監視船は中国の法律に則って中国の管轄海域に向かい、正常な公務である」と主張した。
一方、日本は、中国の漁業監視船の法に則った今回の活動に対して異常な反応を示している。日本の外務省の佐々江賢一郎事務次官は11日、程永華駐日中国大使を呼んで抗議した。
2010年9月に中日間で漁船衝突事件が発生してから、中国の漁業監視船の釣魚島周辺海域での巡航は常態化している。日本の大多数が反応を示しているが、メディアの大々的な報道が中心であり、政府が直接出てきて交渉することは珍しい。これまで、中国外交部の報道官はこの問題に関する回答で、「中国の漁業監視船は釣魚島の『周辺』海域で法に則った巡視を行った」と主張してきた。「周辺」は曖昧で幅広い概念だが、今回は「釣魚島から12海里の海域」と特に強調した。
12海里とはどんな概念か。『海洋法に関する国際連合条約』によると、国の基線から12海里以内はその国の領海であり、その国はエリア内で主権的権利を行使することができる。日本は自らが釣魚島の主権を有すると思っており、実効支配という有利な条件を振りかざし、この12海里の領海の主権を主張しようとしている。こういった一方的な考えを中国側が受け入れるはずがない。ところが、話し合いで釣魚島の争いを解決することを長期望んでいる中国側は、この問題において感情を抑えている。
中国の漁業監視船が釣魚島から12海里の海域に入ったことは、これまでの領有権争いの解決の歩みにおいて実質的な意味を持つのではないか。日本は近ごろ釣魚島問題で絶えずいざこざを起こし、双方の長期にわたる「暗黙の了解」を打破した。中国側は「目には目を歯には歯を」といった具合に、日本による釣魚島の違法支配に対抗する構えだ。中日間の釣魚島をめぐる争いは、口論中心から行動による対決に変わり始めている。両国の釣魚島問題における「過激な発言をせず、過激な行動で相手を刺激しない」という暗黙の了解も打破されつつある。
暗黙の了解が一旦打破されれば、釣魚島の争いも新たな歴史的な局面に入るだろう。実は中国側にとって、これは悪いことではなく、日本による釣魚島の支配はこれまでだということを示している。新たないざこざが起これば、問題解決の突破口が開かれることになる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年7月13日