米紙『ウォールストリート・ジャーナル』公式サイト8月5日付の記事。原題「中国、日本での影響力拡大による摩擦」
中国と日本の立場逆転が一際世界の注目を浴びている中、日本における中国の投資は今や、一大勢力になりつつある。このような日本の勢力減退によって、互いを警戒する隣国同士の長年の恨みが再びかきたてられている。
そして、新潟県の中国領事館の新規建設をめぐる争いの中、このような不信感は益々増大している。新潟県の政府関係者らは長年、この小さな町に観光客やビジネスチャンスを誘致するため、新潟で領事館を建設するように、中国を繰り返し説得してきた。しかし、領事館の建設計画がいよいよ実行されようとしている最終段階になって、抗議活動が起こったのである。建設計画は中断され、日本政府と中国政府は次の手を講じている最中だ。「自分たちの市の中心に外国人が住んでいるのは、不安である。中国領事館は新潟に、中国人や犯罪増加などといった『不必要な要素』をもたらす」と抗議活動の主導者である深谷成信氏は言う。
この争いは中日関係の複雑な本質を反映している。中日両国は同じ文化的背景を持ち、互いに戦争に苦しんだ歴史を抱えている。今日に至るまで、1930年代の日本による中国植民地化計画や南京大虐殺は、依然両国の関係に暗い影を落としている。
中国経済の実力が、日本の景気回復の活力になると考える日本人は少なくない。しかし、中国に対する敵意が増していることも事実である。最新の世論調査によると、アンケートに参加した日本人のうち、「中国に悪印象を持っている」とした人は84%で、6年前に比べ6%上昇している。また、3分の2の中国人がこのような印象はお互いに持っているものであるとした。大多数の日本人は、日本での中国投資の拡大によって、日本の国際的な地位が減退したと感じている。「一方で、日本は発展する中国から甘い汁を分けてもらおうと考えている。しかし、他方では中国の台頭に不安を感じずにはいられないのである。日本人はまだ、自国に流入する新たな富と新たな客人にどのように対応するかを掴めていないのだ」と富士通研究所の中国経済専門家・金建民氏は見ている。
中国の投資に対する日本の反応は、ある意味、1980―1990年にアメリカがバブル真っ盛りの日本の豊かさを警戒していたときの気持ちに似ている。日本の国会議員らは中国の企業の真の狙いは、技術や軍事機密ではないかと推測している。反中国の姿勢を示している高市早苗議員は「アメリカが日本の土地を購入しても、誰も心配する人はいない。しかし、中国人が日本に入ってきたことは多くの人を不安にさせている。中国は日本が『脅威』としている国であることを忘れてはいけない」と言う。一方、新潟県の副知事は「中国との関係を強化することは、他県との競争に勝てる唯一の道である」と話している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年8月7日