■混乱に乗じて蠢動する「第3勢力」
石原慎太郎は今年1月にはすでに新党結成の考えに言及し、「第3勢力」結集の必要性や橋下徹氏との連携を示唆した。4月には新党結成構想をあきらめ、東京都の釣魚島「購入」計画実現に専念するといったん発言したが、各保守勢力との結びつきは維持し続けた。日本政府が9月に釣魚島を「国有化」したことで、石原は新党結成の機は熟したと考えた。
現在、日本の政治状況はひどく混乱していると言える。与党民主党は衆議院で過半数をなんとか維持しているものの、潜在的な「離党予備軍」を大量に抱え、支持率も右肩下がりだ。朝日新聞が今月20、21両日に実施した全国電話世論調査では、野田内閣支持率は過去最低の18%にまで落ち込んだ。自民党、公明党など野党は野田佳彦首相への攻勢を強め、1日も早い衆院解散・総選挙を迫っている。
今年8月に野田氏は消費税増税法案を可決するため、消費税増税法を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案の可決に自公両党が協力する代りに、「近いうちに」衆院を解散することで合意した。それから2カ月が過ぎ、自公両党は野田氏に約束を果たすよう促している。民主、自民、公明の三党党首は今月19日に国会で会談。野田氏は2012年度予算の執行に必要な国債発行特例法案と選挙制度改革関連法案の可決、および社会保障制度改革を議論する「国民会議」の早期設置への協力を自公両党に再び求めた。自公両党は年内の総選挙実施を要求。野田佳彦氏は衆院解散・総選挙の時期を明確にすることを拒み、会談は最終的に決裂した。アナリストは、野田氏は今月29日招集の臨時国会で国債発行特例法案や衆議院選挙制度改革法案で野党が協力すれば、衆院解散の約束を果たし、時期を明確にする考えだと指摘する。
野田佳彦氏は衆院解散の時期をまだ明確にしていないが、政界の相当数は解散は年内になるはずだと考えている。こうした背景の下、橋下徹氏は9月12日に新党「日本維新の会」の結成を正式に宣言した。各小党も勢力を拡大して民主党と自民党に対抗できる「第3勢力」の中核となるべく、協力を強化している。
【論評】--劉軍紅・中国現代国際関係研究院グローバル化研究センター主任
石原慎太郎が日本保守勢力の大復活を主導しようとしていることは、事実上、東京都を代表して釣魚島を購入しようとしたことと同じで、日本政治に存在する「右傾保守化」の逆流、日本の経済・社会構造が大変化する中での政治のずれの反映であり、「経済はモデル転換期、政治は更年期」の集中的な現れだといえる。
1990年代初めに日本経済はバブルが崩壊し、戦後経済モデルは制度疲労を呈し、政党政治は構造的な変革期に入り、党派は乱立し、国会はねじれ、首相は10年間に9人就任し、国家戦略の行方は不透明になった。新たな世界経済構造の下で日本経済が「失われた20年」を経験したとするなら、日本政治は混沌の20年を経験した。世界は大きく変化したが、日本政治は変化せず、右傾保守思想の逆襲を招き、国家の発展の方向に歪みを生じている。
特に世界金融危機後、世界経済が後退し、新興市場国が急速に台頭し、中国経済が日本を追い抜いたことで、日本はアジアのリーダーの地位を失い、政治的影響力が低下し続けた。東日本大震災後、日本は債務が高止まりし、経済成長と社会安定を支え続ける力がなく、産業が大量に国外流出し、国内経済が空洞化し、政党体制に大きな疑義が生じ、地方政治勢力が勢いに乗じて台頭し、日本政治は下層からの保守化傾向を呈した。この勢力と未成熟な「大衆政治」が結合したことで、日本政治の歪みは一層激化した。釣魚島に対するいわゆる「国有化」、右傾保守の大復活はその直接的な表象と言える。
「人民網日本語版」2012年10月26日