米上院は11月29日、釣魚島(日本名・尖閣諸島)が日米安保条約第5条の適用対象であることを明確に定める追加条項を2013会計年度国防権限法案に盛り込んだ。(文:金燦栄・中国人民大学国際関係学院副院長。環球時報掲載)
この条項自体に新味はない。釣魚島問題における米国の主張には2つの点がある。第1に、釣魚島の主権帰属問題については態度を表明しない。第2に、日本の「施政権」を承認し、釣魚島は日米安保条約の適用対象だと考える。釣魚島騒動の発生以来、米国は一貫して第1点の表明に努める一方で、第2点を繰り返し曖昧に表明してきた。今回の米上院の決定は、第2点を法律によって明確化することをはっきりと示している。
結論は明白だ。米国は表面上は中立だが、実際には日本の肩を持っているのだ。これはわれわれに注意を促すものだ。釣魚島問題において、われわれは米国が参与する可能性をもうなおざりにはできず、可能な限り考えなければならないのだ。
法案は現時点では上院で可決されただけだが、国防権限法案は下院も足並みを揃えるのが通常で、大統領も拒否権を発動するのは難しい。来年度の国防費は全てこの法案の可決後に計上される。特に米国は依然戦争中であり、アフガニスタンからまだ撤退しない中、前線の将兵を怒らせる危険を冒してまで法案可決を妨げようとする者はいないからだ。このため国防権限法案はかねてより米議会にとって「個人的思惑を紛れ込ませる」良い機会となってきた。イラク戦争時、親台議員はこの法案に米台関係関連の個人的思惑を再三紛れ込ませた。今回の法案の提出をリードしたのが「知日派」のウェッブ上院議員であったことは決して偶然ではない。日本メディアは「国防権限法案」に他国の領土問題が盛り込まれるのは極めて「異例」だと大げさに伝えているが、実はそうではない。この法案には国防と全く無関係な内容が盛り込まれることすらあるのだ。