東中国海の情勢は依然として穏やかでない。1月3日にオバマ大統領が署名した「2013会計年度国防権限法」には、釣魚島(日本名・尖閣諸島)を日米安全保障条約の適用対象と明記する条文も含まれている。日本の国内でも最近、いつもの手口で歴史問題について大げさに書きたて、嘘の情報で惑わそうとたくらむ動きが見られる。(文:劉江永・人民日報海外版特約論説員、清華大学現代国際関係研究院副院長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
しかし、米国の悪意ある条文や日本の理不尽な詭弁も、歴史を変えることはできず、中国の意志を揺るがすことはできないのだ。
時事通信社はこのほど、1950年5月15日に作成された中国の外交文書「対日和約(対日講和条約)における領土部分の問題と主張に関する要綱草案」の中で、中国が釣魚島は琉球の一部と認識し、「尖閣諸島」という日本名を明記していると指摘、「(釣魚島は)古来より台湾の一部と一貫して主張してきたとする中国政府の立場と矛盾することになる」と報じた。
しかしこの草案は署名のない参考資料であり、中国外交部の正式な見解ではない。起草者の見方を反映したものであって、中国政府によって採用されたわけではないのだ。例えば「琉球を中国に返還する」などは当時あった1つの主張でしかなく、新中国政府の立場ではない。
この資料には、当時の琉球の概況についての部分で「八重山諸島(尖頭諸嶼)」と書かれている。これは日本の統治下だった1930年代の呼称、すなわち、戦後に日本の領土が確定される前の名称であり、領土問題における新中国政府の立場を代表するものでは全くない。1943年12月に発表された「カイロ宣言」でも似たような状況が見受けられる。「カイロ宣言」では日本占領期の中国東北地域の呼称として「満州」という言葉を使っているが、米中英の3カ国政府が中国東北を「満州」だと認めたわけでは絶対にない。