世界的なFTAの潮流に乗り遅れるな
日本政府のこの戦略は世界の政治経済の情勢で今まさに起こっている巨大な変化によるものだ。中国現代国際関係研究院世界経済研究所の陳鳳英所長は金融危機の後、新興経済国がこれまでにない台頭を見せ、強烈に米国を中心とする「西欧連合」の地位を脅かすようになったことを指摘。これまでのような統治を続けるために米国は先進諸国を団結させ、「集団で復活」を探り世界経済の主導権を守ろうとしている。
米国が打つ具体策としては、太平洋地域でTPP交渉を進めるために日本の参加を求め、大西洋地域では今年早々に米欧自由貿易圏を提示している。これらの目的はまず先進国内部で高いレベルの貿易・産業ルールを創りあげ、自身の巨大な経済力の強みを生かし発展途上国に世界規模でこの新基準を受け入れさせて途上国の競争力に対抗する勢力を創りあげることにある。
日本は先進国の中でも最も開放的でない経済国で、常に国内の貿易や投資の障壁が欧米をいらだたせてきた。国内農業は高度に保護され、これが日本のFTA交渉の大きな障壁となっている。だが、世界の自由貿易圏構築の潮流は排他的、競争性という特徴が際立っており、「貿易立国」日本は「経済基盤」を侵食されるリスクにさらされている。
上海交通大学日本研究センターの王少普主任は、世界的なFTAが盛んな勢いで進行していることによる刺激を受け、日本国内では開放推進の声が優勢になっており、いわゆる「多重効用主義」が台頭し、もともと中心となって進めていた東南アジア経済提携がTPPに発展し、日欧のEPA、中日韓のFTAが並列で進められ、多くの交渉が相互影響することを願っている。ある程度は、これは日本が自分のライバルである韓国の成功事例を見てのことだろうが、韓国は米国、EUとすでに自由貿易協定を結んでおり、中日韓のFTA交渉でも十分有利な立場にある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年3月31日