このロジックに基づけば、中国の中小企業は、イノベーションに至ることができないほど全国的にも地域的にも「均質化しすぎている」と思います。たとえば中国全土で、「あるネジ」をつくる企業について、「同じようなネジ」をつくる企業が全国どこでも中小企業としてちらばっているだけで、どこも技術・製品特殊性がありません。「この特殊な加工のネジ」ならA社、「この形のネジ」ならB社、であり、またA社の技術を他社は模倣できないし、またB社の技術も他社は模倣できないほど全国でも希少性の高い技術であるような状況が、中国では発生していないように考えます。イノベーションというのはA社とB社そして、ゴムを扱うC社が組み合わさってコラボレーションによって予想していなかった発想からうまれてくる「ネジ×ゴム加工製品」なのかもしれないわけです。
イノベーションというのは、さらっと書き切るには大きすぎるテーマでありますが、中国の経済成長の質的成長のための重要要素のひとつ、イノベーションの模索が中国の全国的な課題であるとするならば、僕は中国の抱える問題は、「中小企業の均質性」ということと考えます。ですので、日中国家間の取引(クロスボーダー取引)は超大手の多国籍企業(トヨタやキヤノンなどなど)がフォーカスされやすいものでありますが、中国の中小企業政策を、日本の中小企業からの学習取引というかたちで、政策に反映させていくことは、非常に重要なのではないかなぁと僕は分析します。中国のイノベーションに必要な要素の一つは、「大企業学習」というよりも「中小企業学習」というフェーズに入ったでしょう。さて、日本の中小企業のみなさん「良い取引」ができるかもしれませんよ!
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年4月8日