日本の安倍晋三首相は24日の参院予算委員会で、麻生太郎副総理兼財務相など複数の閣僚による靖国神社参拝に対する中韓両国政府の非難について「閣僚が英霊に尊崇の念を表するのは自由であり、当然のことだ」と述べた。安倍氏は以前の参院予算委員会で、日本による植民地支配と侵略の歴史を謝罪した「村山談話」について、そのまま継承することはないと表明。「侵略の定義に関しては、学界的にも国際的にも定まっていない」とも述べた。
■日本の民族主義を一層刺激
「村山談話」は第2次大戦終結50周年の際に、当時の村山富市首相が発表した談話だ。村山氏は日本が国策を誤り、植民地支配と侵略によってアジア諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えたことを認め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した。
安倍氏が植民地支配と侵略の歴史に対する認識を修正したのは今回が初めてではない。昨年の衆院選で安倍氏は侵略の歴史についての定まった評価を覆すべく、「村山談話」などを見直す姿勢を示した。首相に返り咲いてからは、東京裁判や慰安婦を含む、すでに最終結論の出ている歴史問題に繰り返し疑問を呈し、「適切な時期に、21世紀にふさわしい未来志向の談話を出したい」と述べた。
社民党の福島瑞穂党首は24日、麻生氏ら閣僚による靖国参拝について「日本の右傾化は周辺国との関係の一層の悪化を招く」と批判。また「自民党政権は『村山談話』をずっと踏襲してきた」と指摘し、「村山談話」を見直す安倍氏の動機に懸念を表明した。
朝鮮中央通信は24日の論説で「日本が靖国神社によって軍国主義文化を積極的に後押しすることは、朝鮮および他のアジア諸国に対する多大な侮辱と挑発であり、日本自身を不幸な歴史に陥れる犯罪行為でもある」と指摘した。
韓国の朴槿恵大統領は24日、メディアとの昼食会で「歴史に対する正しい認識なしに、韓日両国が未来志向の関係を発展させるのは難しい。右傾化は日本自身にとってなんのメリットもない。日本は深く、慎重に問題について考えてほしい」と表明した。鄭ホン原首相は「安倍内閣の言動は歴史の後退であり、大変遺憾だ」と表明。尹炳世外相は訪中時に「責任ある指導者は正しい歴史観を持つべきだ」と述べた。韓国・漢陽大学日本学国際比較研究所の李康民所長は「歴史の潮流に逆行する安倍内閣の最近の一連の行為は、地域の他の国々との関係に深刻な影響を与える。韓日両国の『軍事情報包括保護協定』交渉の無期限先送り、さらには中断さえも考えられる」と指摘した。