歴史問題に対する姿勢の転換は日本のアジア戦略の苦境を浮き彫りにした。歴史上、日本は「脱亜入欧」によってアジアで最も早く近代化の道を歩んだが、後に軍国主義によって戦争へと向かった。第2次大戦後、日本は再び経済的奇跡を成し遂げることで、アジア諸国をリードした。
だが近年のアジア市場の成長、特に中国と韓国の台頭を前に日本はアジアに戻り「失われた20年」から脱却することを急ぐようになった。安倍氏は首相に返り咲いた後、東南アジア諸国をしきりに訪問し、投資について語る一方で、いわゆる「価値観外交」を推し進め、中国周辺の戦略空間を圧縮してアジアにおける自らの地位を押し上げようと企てている。
中韓両国との領土問題、歴史問題での摩擦も深まっている。朝日新聞は、かつて棚上げしていた安倍氏の「力強い外交」が徐々に頭をもたげ、日本外交は難しい局面を迎えていると指摘した。安倍氏は「安倍談話」を通じてアジアの指導者としての地位を確立することを望んでいるが、アジア人民がすでに形成した共通認識の改竄を基礎とするのであれば、歓迎されることはあり得ない。
韓国世宗研究所の李泰桓首席研究委員は「安倍氏の論調は国内政治、特に7月の参院選の影響を受けている。平和憲法を改正し、日本を軍事強国にする馬鹿げた企みのための地ならしでもある」と指摘した。韓国・聯合ニュースは「侵略の歴史を否認する安倍氏の発言や閣僚の靖国参拝により、韓日関係の改善は今後一定期間困難となった」と指摘した。
安倍氏は量的緩和政策によって日本の株式市場を押し上げ、経済をいくらか好転させ、内閣支持率を高めた。だが靖国参拝などの安倍内閣の行為については日本国内で批判の声が強い。村山富市氏は少し前に「『村山談話』にはいかなる見直しも必要ない。この談話はすでにアジア各国の人々の心に深く染みこんでいる」と述べた。共同通信は「経済政策で好評を博した安倍政権に外交問題が暗い影を落とすことになる」と指摘した。
「人民網日本語版」2013年4月25日