安倍氏のいわゆる「侵略定義未定論」が基本的常識を欠いた詭弁であることは明らかだ。日本の権威ある辞典『広辞苑』は「侵略とは、他国に侵入してその領土や財物を奪いとること」と説明。日本の『国際法辞典』も「侵略とは通常、国家が他の国家に対する要求を実現するために武力的手段を用いて事態改変の目的を達成する行為」と指摘している。1974年12月14日に国連総会で正式に採択された侵略の定義の第1条は「侵略とは、国家による他の国家の主権、領土保全若しくは政治的独立に対する、又は国際連合の憲章と両立しないその他の方法による武力の行使であって、この定義に述べられているものをいう」と定めている。
しかも侵略に関する定義が国際的に完全に一致しているか否かにかかわらず、たとえ侵略に対する日本の定義に基づいたとしても、日本の対中戦争が正真正銘の侵略であることを証明するに十分なのである。
国連安保理常任理事国入りに熱心な日本が、第2次大戦集結から現在にいたるまで、侵略を認め、謝罪する国会決議を採択できずにいることは遺憾である。日本には首相の発言を規制する国としての統一意志がないために、政局が変動すると新しい指導者は前任者の政治姿勢表明の見直しを企てることになる。右翼保守勢力はすでに昨年末の総選挙で衆議院の議席の多数をコントロール下に収めた。さらに今年7月の参院選で参議院もコントロール下に収めようとしている。そうすれば日本右翼の歴史観と戦争観がさらにはびこることになるだろう。日本政治の右傾化はさらに右翼化へと進む危険性をはらんでいる。
侵略の定義と日本国憲法改正に関する安倍氏の最近の発言は、まさにこうした背景の下で出てきたものであり、今後も繰り返される可能性が高い。事態がこのまま推移していった場合、平和を愛する世界の国々と人民は、今後20年で日本が再びアジアの侵略戦争の策動地となる可能性を注視し、警戒し続けざるを得ない。
「人民網日本語版」2013年5月7日