「陰謀論」の観点に立てば、橋下氏は自民党を大助けしたとも言える。彼が大いに放言したことで、安倍政権の一連の強硬姿勢の印象が薄まっただけでなく、日本維新の会の票が自民党に流れ、次期参院選で一人勝ちする流れが一段と明確になった。
国内外の集団非難を前に、橋下氏が「捨石」となる運命はすでにほぼ確定した。だが彼の発言は日本右翼勢力増大の氷山の一角に過ぎないとの懸念を禁じ得ない。「慰安婦」問題、教科書、南京大虐殺……。鮮血で描かれた歴史の1つ1つが、下心ある日本の政治屋によって入念に抹殺され、公然と否定される。意識的に歴史を歪曲し、かつて自らが犯した犯罪を認めることを拒み、かつての「強大さ」を取り戻そうと手ぐすねを引いている。このような隣人、このような世界の一員を前に、どうやって人々は心を落ち着かせられよう?
橋下氏の「慰安婦」発言がくすぶり続ける中、ドイツ誌シュピーゲルはドイツ政府がホロコーストの生存者への援助の増額を約束し、2014年から2017年にかけて世界46カ国の約5万6000人に7億7200万ユーロの賠償金を支払うことを報じた。このような賠償は近年始まったことではなく、ドイツ政府が2011年から2014年までに支払う賠償金はすでに5億1400万ユーロに上っている。
これと極めて対照的に、日本は見て見ぬふりを決め込んでいる。ドイツの賠償については、重要なのは金銭ではなく、被害者のこうむった苦難を認めていることだとの指摘がある。日本の橋下氏らに欠けているのは、まさにこうした歴史を直視する勇気だ。
「人民網日本語版」2013年6月4日