日々深刻化する中国の大気汚染問題について、中国の環境問題に詳しい地球環境戦略研究機関北京事務所の小柳秀明所長は、日本が一方的に中国に環境改善を求めるのではなく、思いやりを持って協力すれば、日中関係の改善にも繋がるという内容の文章を発表した。以下はその全文である。
中国の大気汚染は天気の影響を大きく受けており、今年のような通常の10倍の汚染濃度は、いくつかの悪条件が重なって発生しているため、対策が難航している。
中国政府がこれまで大気汚染対策を怠ってきたわけではない。経済発展を優先させたことで「先に汚染し、後で治理する」とかつて揶揄されたこともあるが、中国は2006年から正式に汚染物質の排出削減への取り組みをすでに始めており、その対象も次第に拡大している。2012年末、中国政府は主要都市を対象とした「重点地域における大気汚染防止対策の第12次5ヶ年計画」を発表し、2015年までに汚染物質の排出量を10%以上削減し、二酸化炭素の排出量を5%から10%削減することを目標に掲げた。