英紙『フィナンシャル・タイムズ』14日付にカート・キャンベル前米国務次官補の文章が掲載された。キャンベル氏は日本の現状について、「日本は今、根本的な変革を遂げている最中であり、アメリカはこれに対し、2パターンの行動をとることができる」と指摘した。(以下は内容の抜粋)
日本の変化が最も大きく表れているのは世論である。世論調査の結果は、極めて短い期間で、日本に新たな以下のような強い傾向が出現したことを示している。中国に対する懐疑心、強いては敵意が日増しに強まっている。韓国との関係が悪化し続けている。軍拡や防衛力強化にますます力を入れている。第2次世界大戦時の日本の歴史問題の矛盾が深まっている。
近年の「失われた10年」以降、日本は大きな変革の時期に突入している可能性がある。政治の表舞台に戻ってきた自民党の安倍晋三は2012年、選挙で大勝を収め、再び首相の座に返り咲いた。そのことが、世論とそれに伴う政治情勢の根本的な変化を反映している。安倍首相と側近らは一連の大胆なマクロ経済政策と構造的な改革を推し進め、続く日本の低迷を打開することを目指した。輸出と株式市場の短期的な回復は、人々の期待感を後押しした。
しかしながら、安倍首相は経済改革よりもはるか遠くを見据えていた。揺るぎのない明白な決意を持って政権を再び握った安倍首相は、国際舞台における日本の地位回復を狙っていた。朝鮮は挑発を繰り返し、中国は「アジア太平洋地域での主導権を狙う」動きを強めており、隣国の動きがますます予想できなくなり、強いては危険な存在になりつつあるというのが日本の見方である。70年間近く、屈辱を忍んできた日本は、歴史という枷をはずそうとしている。枷がかかっていることで、厳格な意味での自衛の他、日本は国防や安全保障に関する行動を一切取ることができないでいる。