日本政府が2012年9月11日に、釣魚島(日本名・尖閣諸島)のいわゆる「国有化」を発表してから、この6.3平方kmの無人島が、再び中華民族の神経を刺激した。中国人民解放軍国防大学の金一南教授は、「釣魚島は中華民族が自身の海洋観と国際関係の準則を見る一つの窓口になった。釣魚島問題が呼び覚ましたのは、中華民族の海洋権益の意識だ」と指摘した。
960万平方kmという中国の国土面積と比べ、6.3平方kmの無人島である釣魚島は、まさに「猫の額」ほどの土地だ。この小さな島には、痛みと苦しみ、そして一つの民族がいつまでも忘れることのできない歴史が凝縮されている。これは人類社会において稀に見ることだ。この小さな島には、中華民族の歴史と海洋に対する複雑な感情が凝縮されている。我々は、釣魚島が反映した中華民族の海洋観、自国の海洋権益の維持の不足を認めなければならない。
我々の海洋に対する認識は、古来より漁業や塩業の利益、船の通行の利便性のみに集中されていた。海は世界につながる道、経済・貿易の重要ルートとして、国家発展の新たな空間を切り開くことができる。このような観念が中国では非常に不足しており、我々の海洋に対する認識の不足、海洋に対する軽視を招いた。
権利とは国際関係において、獲得・維持の時にのみ強く示される。道理にかなっていても実力がなければ、強権に勝つことはできない。この権利を獲得し、守ろうとしなければ、誰も公平にこれを渡してくれることはない。強権に勝つためには道理だけでは不十分で、他にも力が必要だ。
釣魚島は中国人が上述した認識をまっとうするための、一つの窓口だ。この窓口を通すことで、我々は自らを、そして世界を再認識する。これはすでに、一つの国と民族が自身の利益を見つめ、自身の利益を考慮し、この利益を維持・放棄するかを決定する契機になっている。中国人の海洋意識は、現実において遭遇する一つひとつの問題によって徐々に高められる。中国は自然の海洋から権益の海洋に移り変わり、最終的に調和的な海洋を実現する。これらの問題が発生しなければ、これらの課題に直面しなければ、我々の世界と自身に対する認識は、今日ほど深いものにはならなかっただろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年11月19日