東京都の複数の公立図書館で、少なくとも265冊の「アンネの日記」や関連書籍が破られていた。菅義偉官房長官は21日、書籍を破る行為は「極めて遺憾であり、恥ずべきことだ」と述べた。
広がる被害
「アンネの日記」は第二次世界大戦中のユダヤ人の少女、アンネ・フランクがナチスの迫害から逃れるため、アムステルダムの密室に隠れていた時に記した日記だ。フランク一家は1944年に捕まり、アンネはチフスにかかり収容所で命を落とした。アンネの父であるオットー・フランクが命からがら逃げ出し、1947年に「アンネの日記」を出版した。この本は数十カ国の言語に翻訳され、有史以来最大のベストセラーの一つに数えられており、2009年に「世界記憶遺産リスト」に登録された。
共同通信社は21日、東京の複数の公立図書館に保管されている「アンネの日記」や関連書籍が破られるなどの被害を受け、杉並区や中野区などの5区・31軒の図書館で265冊が破られたと伝えた。
被害が最も深刻だったのは杉並区で、11軒の図書館の119冊が被害にあった。また中野区の5軒の図書館では54冊、練馬区の9軒の図書館では41冊、新宿区では39冊、豊島区では12冊が被害を受けた。豊島区図書館はさらに、本のページがカッターで切られるといったケースを見つけている。