中国国務院の李克強総理は5日、第12期全国人民代表大会第2回会議で就任以来初となる政府活動報告を行い、「都市化は現代化において避けて通れない道で、都市・農村二元構造を打ち破る重要な拠り所であり、中国は人を中心とした新型の都市化を進めていく」と述べた。今後は、「1億人の農業人口の都市部での定住」、「1億人が住む都市部のスラム街や城中村(都市部に取り残された環境の劣悪な地域)の改善」、「1億人 が住む中西部の地域周辺の都市化」の「3つの1億人問題」の解決に重点を置くという。
中国の都市化の急速な発展は改革開放後に始まり、新中国成立当初、都市化率はわずか7.3%だったが、60年以上の発展を経て2013年には53.73%に達した。これは偉大な成果であり、中国社会と経済構造に歴史的な変化をもたらした。
しかし、巨大な成果を得たと同時に、歴史や体制などの様々な要素により、都市化には未だにいくつかの問題と矛盾がある。中でも大きな問題は、中国の都市化が都市人口の拡張または都市の規模の拡大に現れ、出稼ぎ労働者の市民化はまだ実現していないことである。
2012年のデータを例に挙げると、都市人口で計算した場合、中国の都市化率は52.6%だが、戸籍人口で計算した場合はわずか35.3%で17.3ポイントの差がある。これは都市と農村の間にいる2億5000万人の出稼ぎ労働者に影響する。この巨大なグループは、都市戸籍の住民と同じ福利をまだ受けられていない。
中国の都市化率が年間1ポイントの速さで伸びれば、2020年には60%に達し、都市人口は約8億人、出稼ぎ労働者は3億5000万人に増加する。安定した生活があってはじめて楽しく働くことができる。どのように彼らの安定した生活の問題を解決するかは、都市化の質を図る重要な条件となっている。
しかし、現状を見ると、都市の地価と家賃は急上昇し、ほとんどの出稼ぎ動労者は「家を見てため息をつく」しかない状況であり、都市での定住は彼らにとって贅沢な夢である。何とかして残ったとしても、各方面の条件が悪い都市周辺である。彼らが安定した生活を送れないだけでなく、深刻な格差は重大な社会問題を容易に招く。この難題をどのように解決するか、隣国の日本の経験を参考にしてもいいかもしれない。