東京電力は19日、福島第一原発内の汚染水処理設備に故障が発生したため、浄化されていない高濃度汚染水が21基のタンク群に流入した可能性があると発表した。
東京電力は4月に汚染水処理設備を正式に稼働させ、この設備を増設することにより、2014年度内に残りの約34万トンの汚染水の処理を完了する予定だった。しかし今回の事故により、設備の今後の稼働は厳しい状況に直面する。
東京電力によると、17日に処理設備から採集した水を18日に調べたところ、ベータ線を出す放射性物質の濃度は1リットル当たり約1400万ベクレルに達した。処理後の濃度は、通常ならば数百ベクレルに低下するはずだ。
東京電力は全3基の汚染水処理設備の稼働を停止した。再稼働の時期については未定だ。
これらの汚染水は処理後、原発家屋の南側の「J1」と呼ばれるタンク群に移される。東京電力によると、18日までに適切に処理されていない2500トンの高濃度汚染水が、J1タンク群に移された。
送水管は1000トンの容量を持つ21基のタンクにつながっているため、これらのタンクのすべてに汚染水が入った可能性がある。21基のタンクには約1万5000トンの汚染水がたまっており、すべて浄化を行う必要がある。
東京電力によると、汚染水が処理後にJ1タンク群に移される前に、臨時用のタンクから高濃度の汚染物質が検出されていなかったため、故障を適時発見することができなかった。今後は改善策を講じることになる。
これらの汚染水処理設備は昨年3月より試運転を開始しており、トリチウム以外の62種類の放射性物質を取り除くことができるため、ベータ線を出す放射性物質の濃度を大幅に引き下げられる。3基の設備がフル稼働した場合、毎日約750トンの汚染水を処理できる。しかし故障による稼働停止が頻繁であるため、常に試運転の状態となっている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年3月20日