安倍晋三首相は19日、ロシアがウクライナの主権と領土保全を侵害しており、状況に応じてロシア側にさらなる制裁措置を講じると批判した。ソチ冬季五輪の開幕式に出席し、日露関係の強化を急いだこととは異なり、安倍首相は米国の圧力を受け、ロシアに対抗する欧米の「統一戦線」を選んだ。しかし制裁は厳しい内容とは言えず、ジレンマに陥っていることが分かる。
安倍首相の対露外交の曖昧な態度の裏側には、日本のこの北方の強国に対する、愛と憎しみが入り交じる葛藤がある。
日本のロシアに対する「愛」の一部は、憎しみから来るものだ。憎しみは主に、両国の北方四島(ロシア名・南千島群島)の領土問題から来ている。北方四島には質の高い港湾、豊富な漁業資源があり、重要な地理的位置と軍事的価値を占めている。
日本は数十年に渡り、「北方領土」の返還を何度も求めてきた。しかしロシア側は、これは第二次世界大戦の結果であり、この結果を変えることは第二次世界大戦を否定することだとしている。領土問題の膠着状態を打破するため、日本はロシアに対して「愛」を示した。安倍首相は再任後、日露の領土問題を解決し、日露平和条約を締結したいと表明した。安倍首相はこれに向け、日露関係の全面的な発展を求めている。西側諸国がソチ五輪のボイコットを叫ぶ中、安倍首相は開幕式に出席し、プーチン大統領と2012年12月ぶりの5回目の首脳会談を開いた。プーチン大統領も、今年秋の訪日を予定している。
現在の外交・経済情勢の中、日本の「愛」には他の考えもある。安倍首相は改憲の取り組みを強化しており、歴史・領土問題で間違った立場を貫き、日本と中韓の関係を困難な局面に陥れた。外交面のさらなる孤立化を回避するため、安倍首相は対露外交により局面を打開しようとしている。
日本とロシアには、経済協力の利益がある。ロイター通信の報道によると、日本が2013年にロシアから輸入した石油の量が45%増加し、日本の石油輸入量全体の7%を占めた。東日本大震災の影響により、日本の原発が閉鎖され、再稼働も国内の圧力に直面しているため、日本は石油輸入の拡大によりエネルギー不足を補う必要がある。また日本の昨年の対露輸出額は1兆6900億円に増加し、トヨタや三菱などの日本企業もロシアに新工場を設立した。
プーチン大統領が今年秋に訪中する計画を立てる中、米国の対露制裁要求を受けた安倍首相は、愛と憎しみのジレンマに陥り、抜け出せなくなっている。ロシアに厳しい制裁を課せば、日本が苦心してきた日露の領土・外交・経済計画が泡となるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年3月25日