「BWCHINESE中文網」は3月24日、リー・クアンユー氏の「日本を凡庸な国に変えたのは何か」と題する記事を掲載した。内容は下記の通り。
日本が直面している最も深刻な課題は、人口問題だ。日本社会は高齢化が深刻で、若い世代の数が不足している。これと比べれば、停滞に陥った経済、リーダーシップのある指導者の不足といったその他の問題は、問題にもならないほどだ。日本の人口問題が効果的に解決されなければ、国の将来は暗いものになる。
シンガポールも低出生率の問題に直面しており、私たちは日本と比べて楽観できるわけではない。しかしこの二つの国には、本質的な差がある。シンガポールは移民受け入れにより、この問題の一部を解決した。
一方で日本人は移民排斥で有名な民族だ。いわゆる大和民族の純血を維持することは、日本人にとって当たり前の、根深い考えのようだ。これが原因で、外国の移民受け入れにより出生率の問題を解決しようと、公の場で議論しようとする人がいない。日本の一般人にせよ、政治界のエリートにとっても、これは最初から選択肢でさえないのだ。
私は日本人が示した、大和民族の純血に対する誇りを目にしたことがある。第二次世界大戦中に、日本がシンガポールを植民地にした数年間、私はキャセイパシフィックのビルで英文誌の編集員だった。
日本軍の兵士は毎年12月8日、そこで祝賀式典を開いていた。彼らは日本刀を振りかざし、「我々日本人は、天照大御神の子孫だ」と口にしていた。当然ながら現在の日本人はこんなことを言わないだろうが、心の奥深くではこれを信じ続けており、変化が生じていないと思う。
心の奥底で、このような教え(我が民族は神聖であり、その他の民族は劣等だ)を深く信じているならば、多くのことが進めにくくなる。
例えば移民により人口の構造的な問題を解決するという常識的なプランは、一つの選択肢になったこともなければ、口にすることのできないタブーでさえある。例えば私が日本の指導者であれば、見た目が日本人と大差ない民族、例えば華人、高麗人、さらにベトナム人を受け入れようとするだろう。
日本国内には実際に、華人、高麗人、ベトナム人、その他の国の人が居住している。私は高麗人が56万6000人、華人が68万7000人というデータを目にしている。
彼らは日本語を上手に話し、生活習慣とマナーは身辺の大和民族の日本人と変わりない。これらの日本に住む外国人は、日本社会に完全に溶けこむことを願っている。しかし日本社会は事実上、これらの日本で生まれ育った人をも完全に受け入れることができない。これは日本人が、これらの人を「自分たちと違う民族」と見なすからだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年3月26日