とはいえ、従来の日中間の経済関係をベースにした連携手法はすでに時代遅れであろう。それはあくまでも「先進国日本」、「発展途上国中国」という関係を前提としたもので、日本の資金(外貨)と先進技術によって中国の経済発展を促すことに主眼が置かれているからだ。中国が日本を抜き世界第2位の経済大国となった今、旧態依然とした関係を前提に構築された連携・協力関係が効果的でないことは自明の理である。それでは、今後どのような連携・協力関係が求められていくのだろうか?
将来的には分からないが、如何に中国が世界第2位の経済大国になったとはいえ、現段階では多くの産業分野で技術的、経験的には日本が優位にあることは間違いない。しかし、この優位性がいつまでも続くと思ったら大間違いだ。近年の中国企業における技術開発は、日本のみならず欧米などからの技術移転もあり急速な発展を遂げつつある。特に製品のコストパフォーマンスを踏まえた国際競争力という点では日本は太刀打ちできない。現実に白物家電の製造分野では、日本企業は衰退している。また、無人月面探査機「嫦娥(じょうが)3号」を月に送るなど、科学の先端分野でもすでに日本の先を進んでいる分野もある。とはいえ、省エネルギーや環境、新素材、精密機器等多くの科学技術の面では、依然として日本が先んじているのは確かである。そして、さらに重要なのは、新規・既存設備の如何にかかわらず、常に最適な稼働状態を追及・維持しようとする意識とノウハウを日本企業は伝統的に有していることである。
他方、日本が逆立ちしても中国に敵わないのは、人的資源、食糧、土地、鉱物資源などの圧倒的な資源量である。また、発展の真っ只中にある中国には、何よりも現場があるという強みがある。石炭採掘、発電所建設、アルミ製錬など、すでに日本では衰退してしまい、現場がほとんど残っていない産業も少なくない。如何に過去の経験が多かろうと、現場を持たない産業ではその技術や経験は廃れる一方である。その点、中国では常に新たな現場が生まれ、人材育成や技術蓄積の場が用意されている。
今後の日中経済連携にとって重要なのは、過去の時代遅れとなった従来の両国関係の概念から脱却して、時代に即した今の日中双方の優位性を活かし、新たな相互補完関係を構築して、両国の経済発展を促すことである。孫子の兵法に曰く、「彼を知り己を知れば百戦殆うからず(知彼知己者百戦不殆)」だ。先ずは、現状を正しく認識することから始めることが肝要だろう。そうすれば、経済発展方式の転換という課題は、決して中国1国にとどまるものではなく、日本を含む先進国にも当てはまる大きな課題であることが分かる。驕ることなく、相手からも素直に何かを学び取ろうとする姿勢が大切なのだ。
当面は、経済分野においてですら日中の二国間では政府を主体とした交流が進むとは思えない。そうしたなかで、日中両国に韓国を加えた日中韓の3カ国の交渉は進展をみせていることから、先ずはアジアという枠組みの中で交流を進めていくことも一つの方法であろう。また、こういう時こそ民間交流の重要性が問われるのかもしれない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年4月10日