近年、中国農村地域の廉価な労働力は、過剰から不足へと一転し、「民工荒(農民出稼ぎ労働者不足)」という現象が発生、これにより中国は廉価な生産コストという国際競争力の源泉を失った。日本を含む外資系企業が挙って工場を東南アジアへと移転した。この経済現象こそ著名な「ルイスのターニング・ポイント」だ。
早急にこのターニング・ポイントを乗り越えるべく、中国は市場のさらなる最適化を図らなければならない。たとえば、中国の民間の智恵や発明が遅々として有効的な保護が得られないことは、中国経済の長期的かつ持続可能な成長を著しく阻むものだ。知的財産権の保護は廉価な労働力不足の事態打開を図る上で重要な鍵となる。
また、中国は日本と同様、経済をコントロールする上で政府に依拠した財政政策が過度に多く、政府による無駄な投資プロジェクトが多い。中国はコントロールの中心を政府の財政政策から順次中央銀行の金融政策へと移行し、自由変動相場制を採っていかなければならない。
中国には当時の日本の失敗から教訓を汲み取ってもらいたい。日本銀行は当年バブルのさらなる発生を防ぐため、過度な緊縮政策を実行し、日本経済は長期的低迷に陥った。バブルを過度に恐れてはならない。中国にバブル経済の兆候が見られても、中国政府が適切な金融政策を採りさえすれば、厳しい時期を最短に縮めることができる。近年の日本の経済回復は非常に良い参考になるだろう。日本政府は金融緩和策を通じて、経済の再生を実現している。
中国経済が今後成長するか減速するかについては、中国政府が的を得た財政金融政策を採りさえすれば、今後10年に渡り依然5~7%の成長率を維持することができると考える。(田中秀臣:早稲田大学講師、上武大学ビジネス情報学部教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年6月11日