ゆえに中国の対外戦略の最も重要な任務は、自国のボトムラインと限度を把握することだ。東アジアの主体国である中国は、地域内でより大きな影響力を発揮する理由と能力を持つ。釣魚島問題は中国の利益のボトムラインに関わるため、一歩も譲歩できない。また東アジアは米国の核心的な利益がある場所でもなく、米国が投入できる力にも限りがある。朝鮮戦争とベトナム戦争の教訓は、中米の軍事力に大きな開きがあった当時でも、米国が勝利することは困難であったことを教えてくれる。ましてや今の中国の軍事力は、当時の比ではないのだからなおさらだ。
ゆえに中米の東アジアでの協力の可能性は、衝突の可能性を上回る。中米はいずれも第二次世界大戦の戦勝国であり、極東の国際秩序の受益者であるため、両国は日本の軍国主義復活の抑制に対して共同の責任を持っている。日本メディアが今年米国で実施した世論調査によると、中国を「米国のアジアにおける最も重要なパートナー」とする回答者が最も多かった。これは双方の衝突・対抗しない新型大国関係が、完全に可能であることを意味している。自国の領土さえ守れず、自宅の玄関(第一列島線)さえ出られないならば、中国は米国のパートナーとしては不適格であり、日本の軍国主義勢力を抑制することも不可能になる。
中国は世界で謙虚な姿勢を維持しなければならず、永遠に覇を唱えてはならない。中国は陸と海が複合した国であるため、陸と海を同時に管理し、そこから利益を得ている。しかし中国は、ユーラシア大陸の中心に向かい全面的に「西進」し、世界的な海洋国になることもできない。
大国の生存の道は、バランスを把握し程をわきまえることだ。「運用の妙を得るためには、よくよく思案すること」という言葉のとおりである。中国の新指導部は十分な知恵と勇気により、中国の平和的な台頭の道を前進し続けることだろう。
(田文林 中国現代国際関係研究院副研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年6月27日