次に、集団的自衛権の行使の深化と拡大により、既存の自衛隊は人手不足の問題に直面する。この問題は、徴兵制の復活に頼るしかない。そうなれば自衛隊の性質に根本的な変化が生じることになる。自衛隊は本来、戦後日本がやむなく創設した自衛を中心とする部隊である。自衛中心ならば、海外で集団的自衛権を行使する際に、「自衛」の弱点を露呈するだろう。弱点を補うため、より先進的な武器・装備を追加するほか、人員を補充するしかない。その場合、いかに若者を確保するかが重要になってくる。日本はすでに高齢者が全人口の25%を占める高齢化社会となっている。若者の占める比率は低下を続け、総人口も減少を続けている。最新情報によると、日本の2050年の総人口は、2010年の1億2800万人から9700万人に減少する見通しだ。総人口が減少を続け、高齢化が進む国で、兵士の人数を確保するのは難しいことだ。若者が徴兵され続ければ、日本の経済・社会の発展も必然的に停滞に陥る。兵員不足による徴兵制は若者を兵員にし、多くの高齢者が定年延長を余儀なくされる。こうして社会保障や年金などの経済・社会の負担が増し、悪循環を形成する。この循環が続けば、日本の経済・社会の発展がより緩慢になる。軍拡は必然的に、より力強い経済の支えを必要とするが、経済のさらなる発展が不可能な場合、軍拡どころの騒ぎではない。
それから、集団的自衛権の行使で日本の軍事的な影響力を拡大させる場合、大量の物資、特にエネルギー資源が必要になる。例えば軍機と軍艦を出動させるならば高額な石油が必要で、軍機・軍艦・ミサイルの製造には巨額の資金と大量の原材料が必要だ。日本はそもそもエネルギー資源の乏しい国であり、この天文学的な数値に達するエネルギー資源は、避けられない現実的な問題だ。これを解決するためには、二つの手段がある。一つ目は大規模な輸入、二つ目は国内の節約だ。一つ目の場合は巨額の財政資金が必要で、二つ目の場合は国民生活が影響を受ける。最終的に苦しめられるのは、やはり一般人なのだ。
先の侵略戦争の硝煙は消え去っておらず、戦争の悲惨な光景が目に浮かぶようだ。安倍首相は再び戦争の深みにはまろうとしている。安倍首相は多くの日本国民の未来を考えられるならば、戦争の発動者になろうとしてはならない。戦争の発動は、一般人の運命を賭けることになるからだ。(筆者:厖中鵬 中国社会科学院日本研究所の学者)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年7月7日